くりふ

1941のくりふのレビュー・感想・評価

1941(1979年製作の映画)
2.5
【スピのむきだし】

何にせよ冒頭の、寒中水泳クラブの美尻お姉さんにバンザイ50点。

あそこで皆バンザイすれば、戦争も終わっていたことでしょう。シリ&ピース。すると映画もそこで終わりますが、その方がよかった気がしてなりません。

飲み会に無理やりつき合わされて、自分だけまったく盛り上がれない…。そんな気分になれる映画でした。私はこの騒動、全域でシンクロできません。

真珠湾攻撃直後の、アメリカ人のメンタリティってああだったんでしょうか?そこがさっぱりわからず、全員ラリってんのかなあ、ハリウッドだしなあ…と、冷めるばかりでした。何のためのストーリーなのだろう、と3秒ほど苦悩。ジョン・ウイリアムズが時々、音楽嵌めるのに苦労してるのが伝わって来ます。

空中戦はやっぱり面白いし、そこを中心にすればよかったのに、と思いました。日本軍とは接点を設けず、アメリカの内部だけで、侵攻の噂に翻弄される…。そんな構成にした方が、要点伝わりよい物語に、なったようにも思います。「宇宙戦争」ラジオドラマ版で聴視者がパニックになった事件がありましたが、そんな体裁のコメディ版だったらよかったなあ、なんてことも夢想しました。

日本軍も奇妙にハイですね。そして親分である三船さんは重過ぎると思います。だからか、日本軍をシャレにしたいのに、シャレになってないかんじ。その中でも、上陸作戦での偽装でピン!という感触はよかったですが。あのピン!には、日本人の得体の知れなさがよく出ていたとは思います。

み終えて思ったのは、この「無意味な過剰」ってスピの本質では? ということ。現在の彼でも、研磨されたその描写テクニックを剥がしてゆくと、下から現れるのはこんなもんじゃないかなあ、という気がしてきます。本作は調べもので再見したのですが、この感覚を確認できたのは収穫でした。今後はこれを忘れずに、他の作品をみてみることにします。

残虐病は、ここでは発症していませんが、本作けっこう、下品でえっちですね。「大空発情症」ナンシー・アレンの下着サービスがうっふんと素敵。翌年開花する『殺しのドレス』の前哨戦ですね。お顔の脂肪は気になりますが。

<2010.1.23記>
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