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パリ20区、僕たちのクラスのtarakeのネタバレレビュー・内容・結末

パリ20区、僕たちのクラス(2008年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

岩波ホール。生徒たちと笑顔で写真に収まる教師の写真が印象的なフライヤー。だが、日本の学園ドラマにありがちな予定調和のエンディングを想像すると、その期待は裏切られる。

物語において徹頭徹尾、主人公の国語教師と生徒たちの距離は縮まることはない。いや、物語の過程で縮まりそうな契機はあるが、とあるきっかけで再び離れてしまう。

自分が受け持つ生徒の退学を防ごうと思いつつ弁護するも、周囲の教師たちの意見には抗えず、結果的には退学を見届けてしまう。そして、ひどく悪態をつく女生徒を思わず“娼婦のようだ”と罵ってしまう。かといって、ひどく深刻に思い悩むシーンはない。ただボーッとタバコを捨て物思いにふける姿が描かれるのみ。どこかしら、教師と生徒、そしてカメラと教師との間には常に一定の距離が保たれていて、容易に内面に近づこうとはしない。

極めつけは、最後の場面。9か月の学期を終え、1人の生徒にある告白をされる。「自分は何一つ学んでいない」と。教師にとっては、まさに今までの努力は何だったのかと、自問を強いられる発言で物語は終わる。

なんというか、距離感が独特のドラマ。バッドエンドでもはっぴいえんどでもない、見る者にもやもやした何かを焼き付けて終わらせる映画だった。最初から最後まで、音楽が一切流れないことも印象的な作品。
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