【腑に落ちない感じが残る】
悪くはないけど、どこか腑に落ちないと言うか、完全に納得できないところが残る映画です。
ネタバレになるので詳しくは書けませんけれど、いったん謎が解決しかけたところで、しかし実は・・・があるのはまあこの種の作品の常道ですからいいのですが、そこへの主人公の絡み方がどうも、なのですね。
この映画では、誰が正義か誰が悪かが見えにくい。だけど、見えにくいところが売りの作品なのかというとちょっと違うように思えます。肉を斬らせて骨を斬る、というのとも違う気がする。
一例が、大森南朋を中心にして真犯人を追うグループ内でもタレコミをやる奴が複数出るわけだけど、その辺のケジメの付け方があまり出ていない。登場人物が大人だから、でしょうか。世の中、純粋な正義の味方なんていないという達観でしょうか。
しかしその割りには、東大卒キャリアと私大卒の暗闘が暗示されていながら、そこを掘り下げることがない浅さが目に付くのですが。東大卒キャリアは巨悪だけど、そうじゃない下っ端は生活がかかってるから何をしてもいい、ってもんじゃないんじゃないか。そもそも、キャリアと現場の対立は湾岸署シリーズですでに取り上げられている。その点で、何か新しい趣向を打ち出すべきだったのではないでしょうか。