赤ちゃんパンダ

カルメン故郷に帰るの赤ちゃんパンダのネタバレレビュー・内容・結末

カルメン故郷に帰る(1951年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

日本初の総天然色(カラー)映画とのこと。観てから知った。

ウィキペディアでストリッパーと書いてあってびっくりした。映画の中ではストリップという表現は出てこなかった気がしたし(聞き逃してたのだろうか)、村の人が裸踊りだなんだと言ってたけど、当時としては刺激的な服装で、ちょっとセクシーに踊ることを、それでもその当時の村の人から見たら衝撃的だから、過剰に囃し立てているだけだと思っていた。
え、踊りながらもろ見せしたということ…?それはさすがに親は見たくないだろうし、こんな田舎で、親戚もいる中で堂々と踊るのもなかなかすごい。それも戦後6年で。戦後6年で東京にストリップ劇場があったというものすこしびっくりだ。

Wikipediaの「カルメン故郷に帰る」のページでは「映像は水着とパレオを身につけて踊る姿までで、ストリップ姿は登場人物の語りによる」って書いてあるけど、一体どんな語りが入っていたのだろうか。

ちなみにWikipediaのストリップのページを見ると、全裸になる“全スト”や、前張りがあるもの、オールヌードではなく下は扇で隠すものなど、この時代からいろいろなタイプのストリップがあったみたい。

女性の裸や性を売り物にすることと、フェミニズムはずっと微妙なところで対立している。
結局は、何をするかではなく、それがどういう文脈なのかだと思うけれど…例えば丈の長いスカートが一般的だった時代に大胆にスカートの丈を短くしたのは女性解放だといわれるけれど、今の時代に女性であることや美しいこととは本来関係ないはずのCAの制服がやたらと丈の短いスカートだったりするのは女性解放とは言い難いし、むしろその逆である。

それに、女が性を売りにすることは、奔放さや自由よりももっと、貧困や男女の貧富の差、賃金の差(によって、女が売り、男が買うという構造が生まれること)が背景にあることが多いから、
AV女優や性風俗店で働く女性をフェミニズムの文脈のみで語ることや、全面的に擁護することは、個人的にはむずかしいなとおもう(今のところは。また意見が変わるかもしれない)。


でも派手な格好に対する村の男の「なんだあの女は?」「どうせパンパンだろ」という台詞とか、女性の裸や際どい格好を公然と見たがる態度とか、時代とか考慮しても気持ち悪いな、と思う。なにかこう、女性に対する尊敬や尊敬が前提にある憧れのようなものが感じられないんだよな。下卑ているというか。


笠智衆はいつでも笠智衆だなーと思う。この感じ以外の笠智衆って見たことない。
高峰秀子はこういう役は絶妙に新鮮だった。
高峰秀子も、もうひとりの女優さんも、当時のハリウッド女優なんかに雰囲気が似ていて、こういう感じがそういう文脈で美しかったのかな?と思った。

太ももまでスリットが入ったワンピースがすてき。

この時代の映画女優の存在とか憧れとかって、行こうと思えば東京に行くこともそこまで難しくなくて、いろんなメディアでさまざまな情報が入ってくる今とは比べ物にならないんだろうなと思った。当時の人たちがはじめてのカラー映画を見て、都会に思いを馳せて胸を躍らせた気持ちを想像するとうっとりする。
赤ちゃんパンダ

赤ちゃんパンダ