そうねだいたいね

愛の果てへの旅のそうねだいたいねのレビュー・感想・評価

愛の果てへの旅(2004年製作の映画)
4.9
当たり前だが、予め打ち合わせとリハーサルを重ねたであろう優雅で美しいカメラの動きに酔いしれていたら、いつの間にか終わっていた。とにかく無駄が無い。無駄だと思い観ていたシーンが後半で見事に活かされていく緻密に計算された脚本。同時にわざとらしくない。後半で作り手が向かいたい方向が見えてしまうような多少強引にも思える展開があるが、トニ・セルヴィッロの芝居を観て、これは運命だったんだと受け入れて観ていた。こんなにもゆったりしたテンポで最後まで飽きさせないパオロ・ソレンティーノ演出力恐るべし。同世代の自主映画を観てると、クソみたいに尺使ってる長回しがよくあるが、あれは単純にテクニックの問題で、長回しの意味を知っている者が撮れば魔法の時間に変わるんだなって。これは繰り返し観よう。