しばいぬたろう

コクーンのしばいぬたろうのネタバレレビュー・内容・結末

コクーン(1985年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

『コクーン』('85)
Cocoon / アメリカ合衆国 / 英語

ほっこりけいSFドラマ映画。
舞台が老人ホームの宇宙人映画は他にあるのでしょうか。
サイドストーリーとして、崖っぷち船長と宇宙人美女の恋物語も展開され、テンポ良く物語に飽きることは無かった。
また、事前譲歩なしに鑑賞したため、ラストの物語の持って行き方に驚いた。
ただの宇宙人との交流物語ではなく、未知の世界にレッツゴーの作品だとは。


フロリダの老人ホームで暮らす仲良し三人組は、隣家のプールに忍び込んで泳ぐスリルを楽しんでいた。
ある日、そのプールに謎の球体が入れられる。
構わず三人の老人は泳ぎ始めるが、それからというものの、体が若返ったように調子が良い。
その球体は海の底から引き揚げられたもので、なんと宇宙人が仲間を救出するためにやって来ていたのだった。
その仲間が球体の中に入って、英気を養っているという。
やがて老人たちの妻も巻き込んで若返っていくのだが、老人ホームに暮らす他の老人たちから訝しまれる。


テーマは未知との遭遇ではなく、「死」についてを考えさせる映画だった。
しかし、ラストでは「死」を選ぶ者が少なくて、主軸がブレてしまったような違和感を感じた。
個人的には孫のいる夫婦は残って欲しかった。

本作がロン・ハワード監督と知って驚きつつも、他の手掛けた作品を思い出すと納得だ。
キャスティングも良くて、老人夫婦の登場人物が多い割にキャラがしっかりしているおかげで区別もつく。
また、若い二人の恋物語も蛇足になっておらず、物語に良い展開を加えていた点も良かった。
女の子が人間の皮を被るシーンにしっぱいしている細かい設定も微笑ましい。
しかし、目の前で明らかに謎の生命体であることがわかっているにも関わらず、彼女に恋する展開はよくよく考えると不自然だらけ。

冒頭のシーンがラストに繋がっている展開も好み。

死生観を考えさせられる物語で、「一人で永遠に生きていくくらいなら、残って死んだ方いい」という考え方が主だが、「孫の成長が楽しみ」だったり「生まれた故郷で死を迎えたい」という考え方も入れて、老人ホームに残る人を増やしても良かった気がする。。
次作とセットであれば本作にも納得できるかもしれないが。

イルカを多用しているのだが、そこに意味があったのかがイマイチよくわからず。
生き物を登場させるなら、80年近く生きるクルマサカオウムを飼っている老人を用意して、死への葛藤をだしても良かったのではないだろうか。

SF映画に分類されており、宇宙大戦争が好きな方には全く勧めることができない作品だが、怖い映画が苦手な方にSFを勧めるなら本作が丁度良いのではないだろうか。
二作目も同じキャスティングで本作から数年後の物語のようで、どう展開していくのか全く読めないので興味があります。
ぜひ次作も鑑賞したいと思いました。
宇宙人との友好を描いている作品だと『E.T.』をパッと思い出すが、子供たちの夢と冒険が主題である『E.T.』と比べると、本作の方が大人向け。
子供には退屈な映画作品ではあると思う。
しばいぬたろう

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