チャールズ・ディケンズ原作、デヴィッド・リーンの「オリヴァ・ツイスト」。孤児で盗賊の一味のオリバーに次々起こる災難と、手を差し伸べる富裕層。ドラマチックな展開でおもしろかった。社会階層それぞれを極端に表しているのは「レミゼラブル」にも似ているけれど、児童文学だと思っていたのに、こんなに複雑な(大人事情の)話だったなんて。
原作は子供の頃に読み、ディケンズ好きだったのに、オリバーは、なんかしっくりこなかった記憶がある。今観ても、いわゆるご都合主義で、偶然にしても「ないだろー」がたびたび重なる。
でも、その急展開のドラマチックさや、個性的なキャラクターたち、とくに富裕層、市民、貧困層がはっきりしていて、ミュージカルにされるのがわかる(本作はミュージカルではないです)。
時代だからか、群衆パワーが怖い。貧困層をさらに搾取する悪どい人々が出てくる。オリバーが育った劣悪な社会が強調されていた。
しかし、オリバーの高貴さが劣悪な環境の育ちとは異なるのが、「生まれ」を気にするイギリスならでは。ディケンズが下層階級の弱者の視点で社会風刺した小説家だからかな。
映像は、モノクロが野卑な雰囲気を効果的に表していて画が素晴らしかった。構図がいい。
いくつも映画化されている「オリヴァー・トゥイスト」。
マーク・レスター&ポランスキー版のミュージカルをいつか観たい。