このレビューはネタバレを含みます
茨の道を生きる。
冒頭、息子に向かって必死の表情で手を伸ばし、安心し切った笑みで口づける母の姿があまりにも美しい。物語の中では僅かなシーンだが、本編中ずっと頭に残り続け、“愛されて産まれた子”としてのオリバーの純粋さを際立たせている。
社会の悪に振り回され、それでも自分の足で歩むことをやめないオリバーの姿は、彼の母と同じく美しく、強い。母を貶されて暴力を振るうシーンや、特にラストシーンでの「help」には心を打たれる。普段は物憂げで(そこが彼の魅力だと見せかけたミスリードも良い)うっつらと伏せがちな瞳が、家族の愛を受けてきらきらと大きく輝くところにも心を掴まれる。
怯える犬や、先の見えないロープといった血のない残酷描写も見事。
赤い血の伝わり辛いモノクロ映画において、それはカラー映画以上に機能しているようにも感じる。
そして犬が良い! オリバーは幸せになったので、犬、幸せになってほしい。
警察を先導するシーンは思わずガッツポーズ
オリバーの家で飼われてほしい。
敵側女性のイマイチ掴めない動機(そもそも酷い目に遭うことは分かっていただろうに、なぜ自ら連れて来た?)や、どことなく同じようなシーンに思えてしまう感覚もあり。
しかし文句なしのハッピーエンド。
願わくば悪い大人に唆された全ての子供に幸せになってほしい。