櫻イミト

白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々の櫻イミトのレビュー・感想・評価

4.0
第二次世界大戦中にナチス抵抗運動を行い21歳で斬首処刑されたドイツ人女子学生ゾフィー・ショルの実話映画。

【あらすじ】
1943年、ミュンヘン大学生ゾフィーは、兄のハンス、友人のクリストフと共に反ナチス非暴力抵抗組織「白バラ」のメンバーとして、ユダヤ人虐殺批判と戦争の早期終結を呼びかけるビラを作成。しかし大学構内でのビラまきを大学の関係者に発見されゲシュタポに逮捕される。。。

逮捕され5日後に処刑されるまでのゾフィーとナチス側の言動を、残された記録をもとに可能な限り再現している。良心によって行動した自らの正当性を訴えるゾフィーと、ナチスの正当性を説き過ちを認めて助命を求めるように勧める尋問官モーアとの対論が映画の多くを占める。しかし緊迫した臨場感の中であっという間に時間が過ぎた。現代ではありえないナチスの論理を至極真っ当な風に主張する尋問官の姿に言葉を失う。信念を貫いたゾフィーと兄は取り付く島なく国家反逆罪で死刑の判決を受ける。感情が追い付かない最後の時。エンディングにエラ・フィツジェラルドの「私は信じている」が流れたところで思わず涙が出た。

ゾフィーの”良心”は敬虔なプロテスタントの両親によって育まれた。生命をかけて自らの良心を貫いたゾフィーの生き様には、尊敬という言葉では足りないほどの念を抱いた。(しかし現代日本では賛否の分かれるところかもしれない※最近の個人的認識)。

強い信仰を持たない自分は非常時に勇気を貫く自信がない。せめて非常時が来ないように予防に励みたい。

※先日の論壇フェス「戦後79年を考える」での白井聡さん辻田真佐憲さんらのディスカッションで「若い世代は反左翼&愛国がデフォルト」との認識がなされていた。
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