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人生劇場 飛車角のodyssのレビュー・感想・評価

人生劇場 飛車角(1963年製作の映画)
3.5
【役者の顔ぶれがいい】

DVDにて。

鶴田浩二と高倉健、それに佐久間良子が主演の任侠映画。
飛車角とあだ名されるヤクザ(鶴田浩二)は愛するおとよ(佐久間良子)を尻目に、義理を果たすために敵対する一家に殴り込みをかけ、監獄に入ります。
しかし数年間待っているはずのおとよは苛酷な運命にさらされ、それを助けた宮川(高倉健)と・・・

高倉健の役どころが、一線級の俳優になってからの健さんとはちょっと違うのが面白い。
女を救うところまではいいのですが、美しい女に惚れて・・・というところが後年のイメージとはズレている。
もっとも、この時の健さんは32歳。それまで色々な映画に出ていたものの当たらず、この『人生劇場 飛車角』の準主役で任侠映画への足がかりをつかんだとされています。

佐久間良子もいい。後年の彼女はすましたイメージがありますが、ここでは熱演しており、若々しい色気も十分。「女優は大切に使ってはならず、酷使しないと真価が出ない」というのが私の持論ですが、この映画での彼女はまさにその見本のよう。こういう女なら私も女房にしたい(笑)。

三人の主役以外に、月形龍之介が老いた侠客の役で、準主役のその次くらいの役どころ。風格のある老侠客は非常に印象的です。

この映画は以上の四人の健闘で成り立っています。ほかに主題歌を歌っている村田英雄、小説を書く早大生の役で梅宮辰夫が出ており、役者で見る映画とも言えるでしょう。
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