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エルミタージュ幻想の708のネタバレレビュー・内容・結末

エルミタージュ幻想(2002年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

ずっと観たかった作品。映画館で35mmフィルムでの上映で観ました。

ロシアが誇る国立エルミタージュ美術館を、90分ワンカットで撮影するという凄さ。途中でうまく繋いだ "なんちゃってワンカット" ではなくて、ガチのワンカット。ソクーロフ監督の狂気と情熱を感じます。

エルミタージュ美術館を舞台にして、ロシアの近代史、ロマノフ王朝の300年を過去と現在を交差させながら描いていきます。エルミタージュ小劇場でエカテリーナ大帝が舞台鑑賞するシーンから始まり、さまざまな絵画を鑑賞しつつ、ペルシア使節団の謁見のシーン、歴代の館長たちの語らい、ニコライ2世が家族で食事をするシーン、貴族たちの大舞踏会など素敵な時空の歪みが起きてます。ストーリーを細かく追いかけなくても、感覚的に楽しむことができると思います。とにかく豪華絢爛で眼福です。

エルミタージュ美術館は本当に広大で、「ロシアの方舟」という原題(英語タイトルもそのまんま)がピッタリだと思います。そんな広大なエルミタージュの中の劇場やいろんな部屋を黒い服の男が移動しつつ、ソクーロフと対話をしながら滑らかにカメラが進んでいきます。まぁ、黒い服の男はいろんな部屋で追い出されまくってますが。

ラストの舞踏会がひたすら華やかで美しく、幻想的で恍惚感に満ち溢れていました。舞踏会が終わってから、みんながぞろぞろと出口に向かっていくのをただ映しているだけでも、十分に絵になります。

「双子座は好奇心旺盛」という台詞が出て来ましたが、レーニンの映画のタイトルは「牡牛座」だし、ソクーロフ監督って占星術に関心があるのかなと素朴な疑問が浮かびました。

夢を見ているような感覚になってきます。ソクーロフの映画もアピチャッポンの映画も、睡魔込み込みで作品の醍醐味だと思うんです。
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