個人的プロジェクト「名作映画ダイジェスト250」（ロードショー誌80年12月号付録）制覇計画のためセレクト。

この計画をコンプリートするには鑑賞困難な作品が数作品ある。本作、マーク・ロブスン監督作「青春物語」もその一つでソフトもなく配信もないが、You Tubeでフルムービーが配信されているのを発見。字幕＋自動翻訳機能（日本語）を使って鑑賞した。飲んだくれのおっさんが「〜だわ」と女言葉になり、ヒロインが「俺が求めているのは…」「キスしてみろよ」とロマンティックなはずの場面が挑発的な日本語訳になり、機械が時々notを聴きそびれるのか耳で聞こえる英語と意味が明らかに逆になってたり、お堅い直訳どころか時々下品で意味不明な日本語になるのに耐えつつ157分鑑賞。頑張りましたw

ニューイングランドの架空の街ペイトンプレイスを舞台に繰り広げられる群像劇。根っからポジティブな登場人物は皆無で、それぞれ何か心に抱え込んでいるも闇がある。高校生たちが抱えるのはは、親からの束縛や過剰な期待、貧富の差、将来への不安、様々な家庭の問題。大人世代も、世間体、子供へ干渉とその反発、そして過去の過ちに悩んでいる。

小さな街だから噂になればすぐに広まる。その一方で距離を置こうとする大人たち。それぞれの家庭での親子の確執話が、映画後半では複雑に絡み合っていく。実質的なヒロインであるアリソンの出生の秘密をめぐる母コンスタンスとの確執とその行方は大きな見どころの一つ。映画後半は、アリソンの親友セレナが物語の軸になる。継父から嫌がらせを受け続けた結果、大きな事件へと発展していく様子が痛々しい。唯一セレナの身に起こった真実を知る医師が、街の人々の不寛容や無関心を訴える場面は胸に迫るものがあった。

原作はアメリカでベストセラーとなった小説で、映画化である本作はアカデミー賞候補にもなった。また、様々なエピソードが加えられてテレビドラマ化もされた。アリソン役はミア・ファロー、リー・グラントやライアン・オニールなども出演し、長期に渡って放送されたとのこと。ソープオペラとしては格好の題材だったのだろう。

過去の失敗から性に対して頑なになっているコンスタンスと、彼女に恋する独身の新校長ロッシ。大人の恋の成り行きも面白かった。ペイトンプレイスの街並みと湖畔の自然が、人間ドラマと共に心に残る良作。

• #名作映画ダイジェスト(1980)収録作

何かとジョージ・シドニーの『愛情物語』とダブる邦題ではあるが、こちらはアメリカの田舎町を舞台にした青春群像劇。のちに『ウエストサイド物語』でブレイクするラス・タンブリンが脇役で出ており若い。

【セーター・ガール】こと主演のラナ・ターナーが清楚な雰囲気でアメリカの良心的女性を演じ切る。当時の若者たちの心のモヤモヤや生き方への模索が美しいテクニカラーの映像美で綴られた名編となっている。なぜ未DVD化？

監督はRKO出身のマーク・ロブソンという事もあり、当時のアメリカの若者のジタバタぶりと葛藤などが実に手際よく収斂されて長尺を飽きさせないフレキシブルな手腕が発揮された見事な大作となっている。

今のところ俊英・マーク・ロブソンの中でも屹立した完成度の作品だと思っている。出来ればカルト作『哀愁の花びら』も観てみたい。

150分越えの長尺を感じさせない。
のどかで美しき田舎で、全てがつつぬけで自由に身動きできない田舎で、男女が織りなす青春の物語。友情と性と家庭。大事にすべきものは世間体か、愛する者か。君をそこに縛り付けるものは何だ。