DJあおやま

恐怖分子のDJあおやまのレビュー・感想・評価

恐怖分子(1986年製作の映画)
4.0
『牯嶺街少年殺人事件』を観て以来、すっかりエドワード・ヤンの描く退廃的な台湾に目がない。そんな折、本作がリマスター版として新鋭のミニシアター・大須シネマで上映されていたので、早速観てきた。
舞台である80年代の台湾は、日本文化と中国文化が混沌とミックスされていて、古めかしさはあるものの懐かしさはない、ある意味新鮮な雰囲気が広がっている。そんな台湾では、秩序が乱れ、人々の緊張の線は張り詰めている。そして、些細な出来事から、その線は弛みを失い、思いもよらぬ結末をもたらす。
台詞も少なく、演出も説明的でない。『カップルズ』と違いまったくロマンチックでない。より人間の静かな狂気を描いていて、自分自身もそうなり得ないと思わせる、まさに恐怖を描いている。クライマックスは、まるで『ラ・ラ・ランド』、痺れた。
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