青の

ブレードランナーの青ののレビュー・感想・評価

ブレードランナー(1982年製作の映画)
4.5
【醤油かけときゃ大丈夫♪】

この通常版(便宜上の言い方)を先に見た方なら分かってくれるかもしれない、あるいは気になっていたシーンがある。
序盤、主人公デッカードが屋台にて食事を注文するあの場面だ。


デッカード「4つくれ」
店主「2つで十分ですよ」
デッカード「いや2個と2個、4つだ」
店主「2つで十分ですよ」
デッカード「あとウドンも」
店主「まかせてくださいよー」


デッカードは英語、東洋人の店主は日本語でのやり取りだったので「あ、日本語だ」ってことで日本人には印象深いシーンではあると思う。
ただ、初見このやりとりの意味が分からなくて、ずっとモヤモヤしていた。
ロサンゼルスが舞台でありながら、現代以上に人種や言語が入り乱れ、ネオン看板には漢字が描かれるような近未来ダウンタウン。
雑多でスチーミー、降り続く雨。
会話に意味など無く、雰囲気だけでも出したかったのかな?とか。

にしてもウドン4つは食い過ぎだろ?って考えつつ、でも会話の流れ的にウドンを4つって意味では無いよな?
ウドン定食みたいなやつだろうか?丼物+ウドン小鉢みたいな。
いや、ウドンを頼む前に「4つくれ」と言っているわけだから丼4つてこと??



で、これ後の『ファイナルカット版』で解決する。

主人公デッカードはウドンの前に丼物を頼んでいて、そこには魚が二尾乗っているのだ。

デッカードはこれを四尾にしろとゴネていたのだった。
で、店主は二尾(2つ)で十分だからと、それがウチの味だからと「まかせてくださいよー」って流れだったのだ。

僕の見た通常版ではカットされまくっていたようだ。
また、コアなファンなら「あー、あれね」な、今更なネタのようだ。
とはいえ、なるへそスッキリした。


しかし、スッキリしたはいいが、そのカットされていたという丼を見て(ネットでも見られる)驚愕する。
まず魚の種類がわからん。
素焼き?生?蒸し?
ハーブ?葉っぱ?
米が米にみえない。なんこれ?
デッカードはこの、お頭付き魚を「4つのせろ」とゴネていたのか笑

その丼、既視感というか「これ系」感あるなと思ったのがイギリス飯の『ウナギのゼリー寄せ』だ。
「ちょっと無理かも」な絵面だ。
(イギリス飯をディスっているわけではない。 ちなみに日本の江戸時代にはスターゲイジーパイに酷似した『鰯飯』てのがある)

まあ、近未来SFだし食料事情も色々が設定あるのだろうなって思っていたら、今や作品の舞台となった2019年を過ぎてしまった。
『バック・トウ・ザ・フューチャー2』ならば2015年には宙に浮くホバーボードができていたはず。
今作ではスピナー(空を飛ぶ車)やアンドロイドが一般化していたが、2019年を過ぎてもまだ映画には追いつけない様だ。
(プロペラやジェットエンジンとは違う、根底から覆す動力と小型化の開発がなければ暫くは無理かもしれない)

とりあえず日本の食に関しては、今作の様には(画的な意味で)なっていないので安心です。
いや、この先どうなるかわからないけども…。
昨今は「虫食」を本気でゴリ推しし始めているし。
あの丼が安価な屋台飯どころか、高級な食事となる時代が来るのかもしれない。

とりあえず醤油だけは無くならないで欲しい。


—〆—
高科学と退廃、サイバーパンク、スチーム系、AI、攻殻機動隊…。
幾多にも細分化、枝分かれしてきたSF映画のツリーの中で、間違いなく根幹の位置にある今作。
SFと言うジャンルをも超えた文芸作品。
語るべきことに終わりは無く、きりがないとは正にこのこと。
なので、たまにはこんな見方をしてみました。
青の

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