篠田正浩の日本の封建主義の批判。
犯人と被害者を並行移動で捉える演出。
宮川一夫の、島と海の光、森林の影、を意識した素晴らしいカメラワーク。
芸術作品なら素晴らしいのだが、金田一映画としては、とでもお粗末である。
最初の殺人まで1時間。それでなくても、ややこしい横溝の登場人物や、過去の経緯など、説明不足。伏線の回収がお粗末。
クライマックスの洞窟のあっけないネタバレの仕方。などなど、スピィーディーな市川崑の金田一作品を見慣れていると、非常にまどろっこしい、モタついた作品である。
いきなり冒頭ジョン・レノンの事件を出したのに、後々何の意味も無い。最初主人公だと思った古尾谷雅人は、半分も出てこない。(で結局、誰の子供だったの?)
出てくる出演者はどれもミスキャストで、特に金田一の鹿賀丈史は誰にも愛される「人ったらし」の部分が無くて、何の役にも立たないし、室田日出男の磯川警部は、二課のヤクザ担当にしか見えないし。
市川崑なら、とても可愛い旅館の女中さんが、坂口良子や深キョンなのに、根岸季衣とは‥
その中で主役だといえる、岩下志麻の何と清楚で美しい事か。いつものエロに特化した体当たり演技もしてくれるし、どちらの志麻さんも魅力的だった。岩下志麻に2点入れる。
しかし、髙橋伴明といい、篠田正浩といい、嫁の力だけに頼って作品作るなよ。