ぷー

レナードの朝のぷーのレビュー・感想・評価

レナードの朝(1990年製作の映画)
4.2
幼稚園の頃に1度、大学に入って1度見たことがあったけれど、その時は上手く自分の感想を言葉にできず、もう一度見ようと思っており、
3度目の鑑賞でした。


30年間、自分の意思で動くことや話すことが何も出来なかったレナードに訪れた目覚め。
レナードが、まるで初めて世界を見る子どものように、窓の外をながめたり水にさわったり街の人を見たりする姿は、
30年間意識がなかった人とは思えない生き生きとしたものでした。


しかし、薬の効果が出てきたと喜んでいたのも束の間、レナードを含め他の患者にも、薬の副作用や薬の効果の低下がやってきます。

段々と自身の身体がコントロール出来なくなっていくことへのもどかしさに苦しむレナードと、患者たちを目覚めさせたものの、それが正解だったのかと自分を責めながら、それでも必死にレナードに寄り添おうとするセイヤー医師が衝突するシーンは、どちらの気持ちにも共感でき、胸が苦しくなりました。

レナード達を目覚めさせたことが正しかったのかどうかは誰にも分かりません。
でも、何十年も空白の時を過ごしてきた彼らが、もう一度ダンスを踊り、歌を歌い、本を読み、恋をした、そんな彼らの姿を見ていると
それが間違いだったとは言えない気もします。

セイヤー医師もそう言っていたように、「薬よりも強いのは人間の魂」なのだと思います。

レナードがセイヤー医師に伝えた、ただ生きていることの喜び、家族や友人への感謝、人と繋がることの素晴らしさは、しっかりとセイヤー医師の元に届いて、それが最後のシーンに繋がったのだと思います。

考えさせられることが沢山あり、気楽に見られる内容ではないけれど、
これからも何度も見たいと思える素敵な映画です。

あと、個人的に
”awakenings “を”レナードの朝”と訳した邦題が
レナードが目覚めた時の笑顔や希望を感じられて
とても好きです。
ぷー

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