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ヴィザージュのinuatsuのネタバレレビュー・内容・結末

ヴィザージュ(2009年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

物語はあるようでない、「なぜこういうシーンなのだろうか?」と思うようなカットが次々と展開される作品。セリフが少ないというわけではないものの、意味が見えにくいセリフが多く、時間が進めば進むほど謎が深まる。

ある意味、意味を掴みにくい映像を前にして、観客の観方が試されると思った。『河』で雨漏りで家の中が洪水になったシーンを思い出させるような、水道管が壊れて水が噴き出し家中水浸しになるシーン、『ふたつの時、ふたりの時間』で亡くなった夫に思いを馳せて家中の窓から光が差さないように塞いだ小康の母を思い出させるような、母が亡くなった後に黒いガムテープで窓を完全に塞ぐシーン。ところどころに、過去の作品を思い出させる映像表現があったのが印象的だった。

蔡明亮が何を描きたかったのかがあまりに見えなかったので(そもそも、ルーブル美術館でジャン=ピエール・レオと李康生の2人の様々な表情をカメラに収めることが最大のテーマなのかも知れないが)、2度3度と観たい。
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