ヴィザージュの作品情報・感想・評価

ヴィザージュ2009年製作の映画)

VISAGES/Face/臉

製作国:

上映時間:141分

3.7

あらすじ

フランスで「サロメ」をモチーフに映画を撮ろうとする監督をめぐる夢幻的な世界。ルーブル美術館を舞台にして、ジャン=ピエール・レオ、ファニー・アルダン、ジャンヌ・モローも出演。第10回東京フィルメックスのオープニングで上映された。日本での劇場未公開作品。

「ヴィザージュ」に投稿された感想・評価

フィルメックスにて。
序盤からあまりにも分からな過ぎて辛かった。多分ほとんど寝てた。
寝ててもやけに疲れた2時間だった…。
東京フィルメックスで見た。
ルーブル美術館に発注されて撮ったらしく、「僕ちん、芸術家だよーん」って感じの、ひたすらナンセンスかつタイクツ(同じ動作を延々と見せつける)な画面に怒りが限界突破。
帰りがけ目の前に居たので頭突きをかまそうと思ったが、芸術ヤ☆☆ンどもに囲まれておりそれもならず。
一応、ジャン・ピエール・レオーが出てる。森の中の鏡のシーンは覚えてる。
多くの人が観たいと思っていたであろう「ヴィザージュ」が奇跡の公開!
鏡を立てられた雪林で踊る幻惑的な場面の美しさ。ツァイ・ミンリャン監督必殺のミュージカルシーンも堪能できる。
観客に対して挑戦的な映画も撮るが、美意識も非常に高い。
ツァイ・ミンリャンはどうしてこんなに凄まじい強度を持つ「画」を撮ることができるのだろうか。もう映画の悪魔とかに憑りつかれているとしか思えない驚異的な場面の数々。

本作「ヴィザージュ」は2009年ごろの作品。今までの「河」「hole」や「ふたつの時、ふたりの時間」などを想起させるシーンもある集大成的な映画だと思う。

出演者があまりに豪華で、お馴染みのリー・カンションにジャン=ピエール・レオー、ファニー・アルダン、ジャンヌ・モロー、マチュー・アマルリックまで出演している。

とにかくフランソワ・トリュフォー関係のネタが多い。大人は判ってくれない、アントワーヌ・ドワネルとかが思い浮かぶ。「日曜日が待ち遠しい!」や「隣の女」に出演したファニー・アルダンなんか「フランソワ・・・・・」なんて囁いちゃいます。ツァイ・ミンリャンの映画愛、トリュフォー愛が爆発。

ほんのちょっとだけどマチュー・アマルリックの出演場面も素晴らしい。なんとリー・カンションとアマルリックのラブシーン。お互いの下半身さわりまくる濃厚すぎる肉体的コミュニケーション。

そういえばアマルリックといえばアルノー・デプレシャン。
あ、そうか!こんな人間関係の配置が思い浮かぶ。

・ツァイ・ミンリャンとリー・カンション
・フランソワ・トリュフォーとジャン=ピエール・レオー
・アルノー・デプレシャンとマチュー・アマルリック

この人物たちの多重構造。この本作の根底にある人間関係にきっとファニー・アルダンも嫉妬したことでしょう。

本作は序盤からファンには嬉しい場面のオンパレード。最初はいつもの「水」の作家としてのツァイ・ミンリャンが爆発。台所の水道がぶっ壊れ、蛇口から水が噴き出す。それを止めようとするリー・カンション。最初横に激しく飛ぶ水道の水、それ抑え込もうとして今度は縦に水が飛ぶ。それが雨みたく降り、台所が水浸し。しかしこの「水」の作家はとにかく「水」にこだわる。次のシーンで「水槽」のある部屋にカットを繋ぐ。部屋の中は水浸しなのでベッドが水に浮いている様なシュールなシーン。さらに次の外のカットも道の端っこに流れる「水」を映し、「水」「水」「水」のイメージでカットを繋ぐ。

雪が積もる森で鏡を効果的に使ったミュージカルシーンや、アップとロングショットの使い分け、窓をテープで塞ぎ、差し込む光をコントロールしてしまう部屋の描写。鹿が登場するシュールな場面。とにかく面白い「画」を撮ったら世界でもトップレベルの一人であるツァイ・ミンリャン。映画祭だけでなく、正式な一般公開を望みたい作品だ。
erico

ericoの感想・評価

3.8
ルーヴル美術館に収蔵された、初の映画だそうだ。なるほどね、この映画は絵だ。だから明示的な物語は存在しない。

ツァイ・ミンリャンらしく、観ている者が戸惑うほどの長回しも勿論健在だが、戸惑いながら結局視線を外すこともさせてもらえない。それは、わたしたちが存分に想像することを許される時間なんだと思う。絵を観るとき、人はひとりひとりが心のなかで物語を紡ぎだす。この映画を観るときにも、きっと同じことが起こるのだろう。

映画監督を演じるリー・カンションの前に現れるのは、トリュフォー組の常連だった俳優たち。なかでもジャン=ピエール・レオーとファニー・アルダンが主役級の扱いを受けるのは、特に彼らがトリュフォーと公私に渡り親密な関係を築いたことに理由があるのだろう。(因みにジャンヌ・モローやナタリー・バイも出ている)

この映画は死を描く映画だ。今のジャン=ピエールやファニーの顔、体。スクリーンにそれらが映し出されるとき、なぜかトリュフォーという人の死の重さを、確かな手触りで感じる。彼らの顔は、トリュフォーの死を悼み、ある意味で受け容れて、今という時を迎えているのだろうから。彼らの老いは、トリュフォーの死とともに歩んだ時間でもある。

劇中では、リー・カンションは母を亡くしたことになっているけれど、彼にとってのツァイ・ミンリャンは、ジャン=ピエールにとってのトリュフォーに共通する。彼を形成してきたものはある面でツァイ・ミンリャンであることは疑いがなく、逆もまた真なのだろう。だからわたしたちは、リーの顔を通して、ツァイ・ミンリャンという不可思議な人間に触れている。

ところで、もちろん顔には年齢相応の老いが認められたとは言え、御御足の美しさは全盛期と変わりなかったファニー・アルダン。「日曜日が待ち遠しい」とか、ひさしぶりに見てみたいなぁ。
ムチコ

ムチコの感想・評価

4.2
雪、水、氷、冷蔵庫。すごく凝った画面のすごくパーソナルな物語だった。
サロメよりオルフェを思い出した。美術館の通路が冥府の道みたい。
inuatsu

inuatsuの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

物語はあるようでない、「なぜこういうシーンなのだろうか?」と思うようなカットが次々と展開される作品。セリフが少ないというわけではないものの、意味が見えにくいセリフが多く、時間が進めば進むほど謎が深まる。

ある意味、意味を掴みにくい映像を前にして、観客の観方が試されると思った。『河』で雨漏りで家の中が洪水になったシーンを思い出させるような、水道管が壊れて水が噴き出し家中水浸しになるシーン、『ふたつの時、ふたりの時間』で亡くなった夫に思いを馳せて家中の窓から光が差さないように塞いだ小康の母を思い出させるような、母が亡くなった後に黒いガムテープで窓を完全に塞ぐシーン。ところどころに、過去の作品を思い出させる映像表現があったのが印象的だった。

蔡明亮が何を描きたかったのかがあまりに見えなかったので(そもそも、ルーブル美術館でジャン=ピエール・レオと李康生の2人の様々な表情をカメラに収めることが最大のテーマなのかも知れないが)、2度3度と観たい。
東京フィルメックス、ツァイ・ミンリャン特集にて。ツァイ・ミンリャンの総決算。おなじみのメンバーは磨き抜かれた持ち味を見せつける。シャオカンと水のやりとりはもはやお家芸。ツァイ・ミンリャン作品の出演者たちは、作品を経るごとに味が増す。そこにジャン=ピエール・レオ、ファニー・アルダン、ジャンヌ・モローが加わるのだから、それだけで眩暈がする。眠くもなるけど。そして鹿かわいい。
1970salsa

1970salsaの感想・評価

4.0
第16回 東京フィルメックスにて。

もう一回観たい。
12/4は仕事の都合で諦めていたが、なんとかして観に来るとココロに誓った。

2015/12/04 再度鑑賞。
同僚に感謝する。