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切腹のparsifal3745のネタバレレビュー・内容・結末

切腹(1962年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

脚本に弛緩がなく緊迫した展開で、良い時代劇だった。派手な殺陣とかは、それほどない。津雲半四郎が、どのような思いをもって、切腹をしたいと申し出たのかが、次第に明らかになっていく。
 仲代は鬼気迫る演技、丹波、岩下、三國、石浜も、真に迫る演技であった。娘婿夫婦が、食うに食えなくなって、息子も高熱を発して、井伊家に切腹詐欺で何とか取り立ててもらおうと一縷の望みで訪れる。しかし、井伊家に無碍にされて、一刻の猶予も与えられず、竹光で切腹させられたこと、それが基で津雲は、娘も孫も失い、身よりがなくなって復讐を果たして切腹する物語。津雲は、極めて周到に計画をし、娘婿を邪険に扱った3人の髷を切り落とし、その3人を介錯に指名し、井伊家が名ばかり、表面だけの武家だと騒動を起こし、その結果復讐を果たし、最後は切腹をして果てる。
 「武士道とは死ぬことと見つけたり」という言葉があるが、死ぬに値することに際して、自分の命に執着しないで、身を捧げるという意味かと。
そういう意味では、津雲半四郎と千々岩求女こそが、武士道を貫いたといえるのではないだろうか。
 江戸時代の秩序や太平を守るためには、隠蔽、事なかれ主義などが横行したのだろう。と共に、現在の日本にも十分に耳が痛い話だと感じる。
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