高評価イラン作品 (★平均4.1 メディア購入視聴)
全作品の★評価が非常に高いイランのアッバス・キアロスタミ監督の作品を初視聴。 モキュメンタリー? 実写を混合? と、どこまでがドキュメンタリーで、どこが創造(フィクション?)なのか分別出来ない制作方法がユニークで面白い。
虚言なりすまし犯に関する事件を扱っているが、それを映画にしたいという状況をも作品に含まれていて、事件の実際の犯人や被害者をその本人役として、作品に登場させている様だ。
ただ、序盤が事件の解決寸前の状況で、現場へのタクシー運転手との雑談を含む会話から始まるので、なんだこの作品は・・?となり、視聴者の興味が離れる時間がもったいない。
監督が犯人や裁判官に映画にしたいと申し出をして、物語が進んでようやく、どういう作品かが理解出来てくる。 そして裁判中の映像等は、実際の映像と思う。(そう見えるが、実写か創作かを明かしてない様だ)
他の方のレビューには、犯人の心理変化やシンパシーが語られている場合もあるが、私は非常に身勝手で粗放な人物にしか見えず、自分が映画監督を名乗る事がユニークな以外は、稚拙な事件に感じる。
一瞬の過ちならともかく、自分に好意と敬意を持って歓迎してくれている家族に、数日も嘘をつき続ける段階で、この人物の人間性は "非" とするべきで、終盤の本人と出会って○○的な描写などは、私的に賛同出来ない。
ただ、出演者というかそれぞれの本人が本人を演じてるシーンで、カメラを意識しせず堂々と自然にみえる描写には、本物の役者以上に上手く感じて、そのリアルさが本作の魅力にもなっている事には感心する。
映画ファンならこういう作風に感心を持ち、ユニークさやリアルを感じ、稀少で唯一な作品と考えるだろうが、一般の方には自らを映画監督と偽った虚言男の小事件・・? とおぼろげに伝わるぐらいで、ピンとこないのではと思う。
配信も公開もされてないので、視聴するのが難しい作品だが、上映方法等をもっと広い範囲でしても、それほどヒットには繋がらないのではないか・・・と。
まあ、一見の価値はあるが、上記理由にて★はこの評価に。
作中にも出てくる、イラン国民なら全員が見てるであろうとの、モフセン・マフマルバフ監督の「サイクリスト」が気になる。