クローズ・アップの作品情報・感想・評価

「クローズ・アップ」に投稿された感想・評価

notitle

notitleの感想・評価

4.8
心から尊敬している監督に成りすました詐欺で捕まった男。本人による再現、及び裁判中の記録。生きること自体が、演じる事である中、誰よりも素直な人間らしさがあった。混沌とする社会の中で、失われていくものが多い中、素敵な優しさが寄り添っていた。
TJ野

TJ野の感想・評価

4.8
面白い!
転がるスプレー缶と桃色の花束。
映画(芸術)と庶民の関係。庶民である我々の心を豊かにする映画はなんと神聖なことか!ということを再確認出来た映画。
アッバス・キアロスタミ「クローズ・アップ」
映画監督になりすましある家庭に忍びこみ逮捕された男の話。
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実際に起きた事件に実際の加害者と被害者も出演させるというリアリティと緊張感。
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どこまでがフィクションで、
どこまでがドキュメントなのか。
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その結末が何とも美しかった。
McQ

McQの感想・評価

4.0
この作品で起きている事を文章で表現するのは中々難しいものが、、笑

「私は映画監督モフセン・マフマルバフである!」と偽って、ある家族に詐欺を働こうとしたとして逮捕された男の物語。

というが大筋。

事件と騒ぐには大袈裟だけど、ネタとしての面白さに目をつけたキアロスタミ監督が、事が収まる前に介入し、カメラを意識させた上で、ほとんど誘導的な方法で映画にしちゃってる感じ。

加害者も被害者も全て本人に演じさせた再現部分と、進行中の出来事をドキュメンタリーで見せるという、かなり強引且つぶっ飛んだ発想!

監督のシナリオ通りの「ヤラセ」であったとしても「役者」になりたかった男を主役としたリアルな映画がきちんと完成されていた。

これは観ないとわからない!笑
atsuki

atsukiの感想・評価

4.5
「偽物」のモフセン・マフマルバフのいわゆる承認欲求のために演じるということは身につまされるんだけど、それより「本物」のモフセン・マフマルバフの話をしてみると、彼は元・テロリストとして下獄した後、映画監督として活躍した経歴を持つ。ある時、テロ襲撃によって傷ついた警察官と再会。謝罪をし、両者の間には和解が生まれたらしい。これって「偽物」であるホサイン・サブジアンの話に重なる。だから「本物」と「偽物」の邂逅やドキュメンタリーと劇映画的再現映像を交差させる手法によって、虚実皮膜は極まる。法廷では全体を写すマスターショット(?)と人物を写すクローズ・アップと2つのカメラがあるように、見方は如何様にも変えられる。「本物」のテロリズムも、「偽物」の詐欺未遂も、原因を考えれば、何かを訴えているという共通点がある。つまり、法廷以上の対話の場はない訳で、マスターショットのように広く寛容に、クローズ・アップのように近づき和解してゆく。因みに、あの音響効果は隠しマイクの録音失敗らしけど、キアロスタミがルノワールの言葉を借りて、演出として生かしたらしい。つまり、繰り返しになるけど、形は如何様にも変えられる。
ネット

ネットの感想・評価

3.8
演じること云々の話は個人的には響かなかった。
だけど、この作品のピークはサブジアンの独白ではなくて、本物マフマルバフとの抱擁とピンマイクでは?あんなん泣くでしょ。(実際には、一瞬胸がつまった)
イランの映画監督モフセン・マフマルバフを演じて詐欺の罪に問われた男が、映画の中で再び、モフセン・マフマルバフを演じた男として自分を演じる。その男が本物のモフセン・マフマルバフと出会って謝罪する、終盤のシーンが良い。音声トラブルに見舞われながらも、撮影は強行。そして、遠くから被写体を映すノンフィクションのカットは、真逆から同じ被写体を"クローズアップ"するフィクションのカットへと繋がって、終幕。もう何が何だかよくわからんけど最後にはものすごく感動してホロリとなってしもうたのよ。

「芸術を通して庶民の現実に光を当ててきたマフマルバフは、心の支えだ」と、男は法廷で語る。彼の長い長い独白は、キアロスタミ監督の気持ちを代弁したものだろう。映画は、庶民を見下すものではない。むしろ現実を生きる人々に寄り添い、彼らにとっての救済となるべきだ。それはキアロスタミの作品にも通底する普遍的なテーマであり、もちろんこの『クローズ・アップ』も例外ではない。
実際に起きた詐欺事件を実際に被害に会った家族さらに加害者までもが当人を演じる再現ドラマ部分と裁判のドキュメンタリー部分が混ざった構成の割と見た事がないタイプの作品。アイデンティティや映画の有り方について考えさせられる
この作品、言葉にしづらいんだけど、普段自分たち観客が小説、映画、音楽もろもろすべての「表現」と言われるものに触れること、あるいは「表現」することが、結局は何なの?何の意味があるの?っていう突き詰めた問い、だと思うんです。
uyeda

uyedaの感想・評価

4.2
イメージをスクリーン上どころか、現実世界においてまでも生き返らせてしまった稀有な作品で、こんな事が可能だったのかとブチ上がる。
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