こたつむり

127時間のこたつむりのレビュー・感想・評価

127時間(2010年製作の映画)
4.1
どんぐりころころ、どんぶりこ。
お岩にはさまって、さあ大変。
という映画と伺って鑑賞しましたが。
いやいやいやいや、これがまたどうして。

すげー映画でした。
スピード感溢れる映像。
だけど、現実味溢れる感覚が伝わる映像。
ひとつひとつの所作がミクロでマクロで現実で虚構で演技で真実で、主人公と一体化しながらも、斜め上から俯瞰して。もう。言葉が連なりません。口を開けば単語がタンゴで団子の乱語。ゆえに、今回は想いが伝わらないと承知のうえで単語を並べるだけの感想であります。

雄大な自然。青の神秘。光。
油断。偶然。必然。影。奈落。
太陽の温もり。鈍いナイフで削る感覚。
届け。届かない。触覚。重量。麻痺。血液。
痺れる手のひら。夢の色。希望を失わない色。
孤独。誰かが居ること。自分のための岩、先鋭。

水滴。喜び。浮力の原理。
悲劇。喜劇。脱出劇。密室劇。
天を仰ぐと空に居る自由。憧憬。
弦を弾くような痛み。決断。勇気。
想像、想像、想像、想像、現実、感謝。

いやぁ。ダニー・ボイル監督は凄いですな。
この方の作風は賛否両論あると思いますが、プリズムのように変化する場面は何かしらの薬物を極めているのじゃないか、と邪推してしまうほどに突き抜けています。しかも、その演出が想像力に直接刺激してくるために、没入感が半端無いのですね。だから、主人公が味わう辛苦が我が身に起きたことのように襲ってくるのです。

というわけで。
感想を書くことが出来ない。
というのは、ある意味、最大級の褒め言葉でもあります。特に本作はシンプルな状況を映像化した作品ですからね。安易な言葉がネタバレにも繋がるので、本当に書くのが難しいです。もしも、鑑賞する機会があるならば、出来る限り、予断を捨てて臨むのが一番良いと思います。

それにしても。
次に観る映画は生温いのが良いなあ。
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