チッコーネ

バッド・エデュケーションのチッコーネのレビュー・感想・評価

バッド・エデュケーション(2004年製作の映画)
4.0
スペイン人と南米人は、侵略の歴史がもたらした「共通言語」という遺産を共有している。
「南米映画のニューリーダー」としての地位を確固たるものにしつつあったガエル・ガルシア・ベルナルにしてみれば、世界的な名声を獲得済みの、スペインのアルモドヴァル監督作にはぜひ出演したいところであったと思う。

本作にはそんなふたりのパワーバランスが反映されている。
汚れ役をあてがわれ、お世辞にも美しいとは言えない女装を強いられ、あげくケツを犯られる屈辱的な場面まで…。
しかしそれゆえに、ホットパンツ一枚で部屋をぶらつく回想シーンは、ガエルの驚くほど無垢なセクシーさを率直に伝えるのだ。

「人間が自我と野心を持ち、その達成を優先した時点で、いかに多くの美点が失われるのかを示す」。アルモドヴァル作品の中でも、ひと際残酷な一本である。