チッコーネ

血闘のチッコーネのレビュー・感想・評価

血闘(2011年製作の映画)
3.5
パク・フンジョンの監督デビュー作が現代劇でないのは、意外。
しかし朝廷の覇権争いに端を発する陰謀に巻き込まれた2個人の愛憎劇は、充分に濃厚。
半端なコメディ調のコ・チャンソクが消えた後の展開には「ノワール時代劇」とでも言いたくなるような哀愁が漂い、カタルシスもあった。
撮影や画面の加工には、手慣れたスタッフの内助が感じられる…、音楽はややチープな音色のシンセが耳についたが、総じて古臭さは感じられず、近年の大作風。
中でも冴えた仕事が目立つのは衣装や美粧で、役者たちの戦闘コスチュームはすべて格好良いほか、「目をやられた」パク・ヒスンに施すメイクも劇的(陶磁器の粉末が、効果的な武器になるという発想も面白い)。
また劇中に数多入り混じる回想シーンの中で、高官に呼び出されたチン・グのかぶっている笠子帽はおしゃれ、カックンが大小さまざまなウッドビーズで構成されているのに、目を奪われた。
映画では名匠に起用されながらも、役に恵まれていると言い難いチン・グだが、本作ではメインキャストとしてニヒルなボンボンを好演しており、代表作と呼んで差し支えない存在感。
ただパク・ヒスンと顔の造形が似ており、髪型や衣装もほぼ同じなので見分けのつきにくい瞬間が多々あった。