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狼の死刑宣告のbのネタバレレビュー・内容・結末

狼の死刑宣告(2007年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

復讐ものの定番、いわゆる「怪物と戦う者は自らも怪物に~」な話です。
リスク管理が仕事のベーコンさんは自分の人生のリスク管理は出来ませんでした....。

本作が普通の復讐映画と違うのは、復讐をする人間の心理をリアルに描いている所だと思います。本作では二度ベーコンの家族は襲われる。一度目の襲撃により通り魔的に長男を失う。その結果ベーコンは従来の復讐映画の流れ通り犯人に対する復讐を実行しようとする。しかし、結果的に相手を殺す事にはなるが、それはもみくちゃになった末、図らずも刃物が相手に刺さってしまうという”事故”として描いていた。ここで重要なのは明確な殺意の有無だと思う。人間はいくら相手が憎かろうと実際に殺人を実行する事は難しい。彼の中に殺意に相当する感情はあったかも知れないが、あの時点では躊躇を感じさせて描いており、殺してしまったことへの動揺と後悔を感じさせる。
そして色々あり、ベーコンの家族は二度目の襲撃を受け妻が死亡、次男が重体(命の保証は出来ない状態)になる。そうなることでようやくベーコンは本当の復讐鬼へと化すことになる。二度の悲劇を体験することで躊躇なく人を殺せる様になるというのはリアルだと思う。世の中には不幸にも家族を殺された方は大勢いらっしゃいますが、被害者の遺族が犯人に復讐するなんて事件中々耳にしない。それは普通の人間は簡単には人を殺すことは出来ないからだと思う。普通の復讐映画ならその辺りのリアルな感情よりも話のテンポやカタルシスを優先してしまうが(そういう映画も勿論好き)、本作はそうはせずリアルな感情を丁寧に描いていたのが良かった。 
あと、事故的に殺人を経験させることで殺人に対する抗体をつけさせるのも良かったかなぁ。いくら二度の悲劇を体験しても一度も殺人の経験がない人間がいきなり人を殺せないと思うので。

以下箇条書き
・あのアタッシュケース、開けたらセブンみたいなことになるんじゃあないかとヒヤヒヤしました。
・あの刈り残しみたいな謎へアーは一体?!(自分で刈ったからああなったんだろうけど)
・全体的にアクションが良いんですけど、立体駐車場や家でのアクションは立体的な空間の捉え方をしたカメラワークと画面設計で非常にかっこ良かったです。
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