名作再訪。
リアルタイムで観た記憶があって、そのときにもいたく感動したらしい覚え書きが残っているのです。でも、30年近く経って改めて鑑賞すると、昔の自分はなんも分かってなかったなと。
ブルックリンのロシア人街、リトル・オデッサ。この春からいきなり「オデーサ」に表記が変更された地名から察するに、ウクライナとの縁は深いはず。そしてティム・ロス演じる移民一家はユダヤ系なわけで。さらに「お袋は国を出るために看守に体を売らされた」というセリフがさらりと出てくる。うわあ、語られない彼らの過酷なバックグラウンドが、こんなにありありと立ち上がってくる…!
そして脳腫瘍を患う母親が、自宅でのたうち回りながら命が尽きるのを待っているのはなぜなのか、かの国の健康保険制度を知らなきゃ事情を察することもできんわな。
…というもろもろの見えてなかった部分を差し引いても、やはりこれは「放蕩息子の帰還」ものの傑作の一つに数えたい。
しかしとにかく暗い。