リトル・オデッサの作品情報・感想・評価

リトル・オデッサ1994年製作の映画)

LITTLE ODESSA

製作国:

上映時間:98分

ジャンル:

3.8

「リトル・オデッサ」に投稿された感想・評価

一度は故郷を捨てた殺し屋が仕事のために故郷に戻ってきたという背景で、弟との絆、父との確執を織り交ぜた悲劇を描く。問答無用で頭をぶち抜くティム・ロスが良い具合にイカれてる。寒空のブライトンビーチと重厚なコーラスが他では観れない独特な雰囲気を演出しており、個人的にはかなり名作だと思う。夜の動物園に行くシーンが良い。
ほし

ほしの感想・評価

4.5
ドア、シーツ、フェンス。間仕切りひとつで神懸かった演出をする(パーティーシーンはまだ大人しい)。撮る映画全部面白いって何なんだグレイ。燃えるフィルムは『復讐の谷』(1951)。
dude

dudeの感想・評価

4.1
ひたすら残酷で暗くストイックな作劇。帰郷もののドラマだが、雪の降る小ロシアは冷たい。
序盤、雪の中から地面の赤い色がのぞくショットがあり、嫌な予感は後の血と炎に繋がる。ラストも死体を包んだ白いシーツには血が滲んでいく。兄の殺しを弟が目撃する場面や弟が拾った銃の弾を確認する場面など、影と暴力が結び付けられているのも興味深い。しかもその二つの場面は憧れによって影が伝染することを台詞に頼らない描写の積み重ねの中で理解させる。
テレビが小さくてシネスコサイズだと画面が細くなってしまうのでいつかスクリーンで観たい...。
たかや

たかやの感想・評価

5.0
素晴らしい。余裕でオールタイムベスト入り。

優しい、途方もなく優しい映画だ。行き場を無くした男が、愛と居場所を探す。

ティム・ロスはこんな顔だったか?と思わせるような照明に引き込まれる。弟を叩く肉体も、遠くを見つめる目線も、全てが優しい。
ティムロスがただひたすらかっこいいわけだが、エドワードファーロング演じる兄弟描写、殺し屋としての立場がひしひし伝わってきた。臨場感が半端ない。
ジェームズ・グレイの最初の3作は物語、人間像的には非常に共通項が多いように思うが、このデビュー作は特に地味な作品。

地元に戻り、かつて失った家族や女性関係を修復しようとし、悲劇を生むという構図にティム・ロスとエドワード・ファーロングがハマっている。

ヒロインのモイラ・ケリーが「きっと忘れない」に比べて魅力が薄く感じる。
紫色部

紫色部の感想・評価

4.5
2018.1.20 VHS

メルヴィルや北野武を受け継ぐような完璧な引き算。雪の降る中でジャンクフードを食べる兄弟のシーンや、ティム・ロスが父親に銃口を向けるシーンのロングショットなんかは特にヤバい。
netfilms

netfilmsの感想・評価

4.2
 ロシア正教のコラール(聖歌)が流れる中、虚ろな目をしたジョシュア・シャピラ(ティム・ロス)は唐突に動き出す。足音を立てないままベンチに座る標的の前へ、ジョシュアは躊躇なくターゲットを撃ち殺す。再び依頼主の伝言を聞いた彼は平然とした態度で受け流す。「イラン人で目障りな宝石商がリトル・オデッサにいる」。リチャード・ソープの51年作『復讐の谷』におけるバート・ランカスターの苦々しい表情。学校をサボり、ジョシュアの弟ルーベン・シャピラ(エドワード・ファーロング)はスクリーンで古い西部劇を眺めていた。自転車をNYの地下鉄に乗せ、ブライトン・ビーチへ。そこは通称「リトル・オデッサ」としてロシア系ユダヤ人移民が多く暮らす地区だった。部屋に帰るとお婆さんがルーベンに心配そうに歩み寄る。しがないスタンドに勤める父親アルカディ・シャピラ(マクシミリアン・シェル)はいつも帰りが遅く、母親イリーナ・シャピラ(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)は5ヶ月前に患った脳腫瘍で病の床にあった。そんな中、一匹狼の殺し屋ジョシュアは、裏切り者のイラン人宝石商を殺す仕事を請け負い、二度と戻らぬと誓って飛び出したリトル・オデッサに帰ってきた。昔の友人であるサシャ(デヴィッド・ヴァディム)はタバコ2カートンと引き換えに、兄がこの街に帰ってきたことをルーベンに伝える。

 久しぶりにリトル・オデッサに現れた放蕩息子の帰還に対し、弟ルーベンと父親アルカディとは対照的な表情を見せる。父子の確執はまるでお前が母親の脳腫瘍の原因だと言わんばかりの厳格さだが、弟を殴る父親の姿に兄は激昂する。ブルックリンの南部に位置するブライトン・ビーチは、マーティン・スコシージの「リトル・イタリー」のように、ニューヨークの中で長くユダヤ人コミュニティを形成した。70年代以降増加したロシア系移民にとって故郷の「オデッサ」を想起させるその風景はやがて「リトル・オデッサ」と呼ばれるようになる。自身もカリフォルニアで映画を学びながら、この地を出自に持つ監督のジェームズ・グレイは、親子の愛や憎しみと移民問題を浮き彫りにする。全編ロシア正教のコラールが流れる中、アメリカの中の閉鎖的なロシア・コミュニティの中で生まれたマフィアという疑似家族的な集団の仁義と相容れない親子の情、そして久しぶりの再会に疼いたかつての恋人アラ(モイラ・ケリー)との烈しい恋。父親の欺瞞を問い質すジョシュアの強い憎しみはやがて悲しみの銃弾に変わる。メトロ・ポール・ホテルに滞在した兄の焦燥感、初めて門限を破るヒロインの高揚、そして一家の大黒柱の帰宅に沸き立つ弟の歓待の気持ちが入り混じりながら、マフィアのボスであるボリス・ヴォルコフ(ポール・ギルフォイル)は一切の情を暴力で断ち切らんとする。130年ぶりの大寒波に見舞われたニューヨークで撮られたジェームズ・グレイの奇跡のような長編処女作は、ヴェネチア国際映画祭で見事、銀獅子賞に輝いた。
クールノワール!ルール!ONE SHOT ONE KILL!演者とカメラの距離感がガチハマりしてる。あと影。ティム・ロスのポジションはヤクザ映画で云う所のヤクネタ(疫病神)。ファッションでキャラ設定している様な所もあり。兄貴⇨皮ジャン、兄に憧れる弟⇨Gジャン、皮ジャンを買えない(着れない)背伸びしてスーツを着用したその夜にあるブツを手に入れてしまい結果運命が変わる。親父⇨コート、コートを脱がされた時に後々起こる決定的皮肉!エンドロールの音楽はイントロに繋がる。
まぁどこに行っても居場所なんか無い。ただある振りは出来る。クローネンバーグ『イースタン・プロミス』と二本立てでどうぞ。
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