リトル・オデッサの作品情報・感想・評価

リトル・オデッサ1994年製作の映画)

LITTLE ODESSA

製作国:

上映時間:98分

ジャンル:

3.8

「リトル・オデッサ」に投稿された感想・評価

t

tの感想・評価

4.5
海の向こうにマンハッタンを臨むロシア人街ブライトン・ビーチの寂寥感漂う風景、誰もいない映画館で独り所在無く観る少年、切れるフィルム、映画館を出ても居場所はない…というどん詰まりな乾いたトーンが最後まで映画を支配する。たまらないものがある。兄弟の行く先を阻む白いシーツ。焼却場。
買ったまま見ていなかったDVDの消化1本目。
ロシア系移民が占める閉鎖的なリトル・オデッサに戻ってきた殺し屋のティム・ロス。古い知人に見つからずに仕事を済ませるつもりがのっけからバレてしまい、弟のエドワード・ファーロングや勘当されていた家族と接触することになる。
最初は澄ました顔で顔見知り達との接触を口では拒んでいたティム・ロスが、段々自発的に関わりまくっていくのが何だか可愛い。ムッツリさんだな。父親との確執も悲しいがどちらの気持ちもわかる。重い話だったけど雰囲気があって良かった。
兄の拳銃の銃弾を確認するショットと呼応するラストのシーツ、その影。
一度は故郷を捨てた殺し屋が仕事のために故郷に戻ってきたという背景で、弟との絆、父との確執を織り交ぜた悲劇を描く。問答無用で頭をぶち抜くティム・ロスが良い具合にイカれてる。寒空のブライトンビーチと重厚なコーラスが他では観れない独特な雰囲気を演出しており、個人的にはかなり名作だと思う。夜の動物園に行くシーンが良い。
ほし

ほしの感想・評価

4.5
ドア、シーツ、フェンス。間仕切りひとつで神懸かった演出をする(パーティーシーンはまだ大人しい)。撮る映画全部面白いって何なんだグレイ。燃えるフィルムは『復讐の谷』(1951)。
dude

dudeの感想・評価

4.1
ひたすら残酷で暗くストイックな作劇。帰郷もののドラマだが、雪の降る小ロシアは冷たい。
序盤、雪の中から地面の赤い色がのぞくショットがあり、嫌な予感は後の血と炎に繋がる。ラストも死体を包んだ白いシーツには血が滲んでいく。兄の殺しを弟が目撃する場面や弟が拾った銃の弾を確認する場面など、影と暴力が結び付けられているのも興味深い。しかもその二つの場面は憧れによって影が伝染することを台詞に頼らない描写の積み重ねの中で理解させる。
テレビが小さくてシネスコサイズだと画面が細くなってしまうのでいつかスクリーンで観たい...。
たかや

たかやの感想・評価

5.0
素晴らしい。余裕でオールタイムベスト入り。

優しい、途方もなく優しい映画だ。行き場を無くした男が、愛と居場所を探す。

ティム・ロスはこんな顔だったか?と思わせるような照明に引き込まれる。弟を叩く肉体も、遠くを見つめる目線も、全てが優しい。
ティムロスがただひたすらかっこいいわけだが、エドワードファーロング演じる兄弟描写、殺し屋としての立場がひしひし伝わってきた。臨場感が半端ない。
ジェームズ・グレイの最初の3作は物語、人間像的には非常に共通項が多いように思うが、このデビュー作は特に地味な作品。

地元に戻り、かつて失った家族や女性関係を修復しようとし、悲劇を生むという構図にティム・ロスとエドワード・ファーロングがハマっている。

ヒロインのモイラ・ケリーが「きっと忘れない」に比べて魅力が薄く感じる。
紫色部

紫色部の感想・評価

4.5
2018.1.20 VHS

メルヴィルや北野武を受け継ぐような完璧な引き算。雪の降る中でジャンクフードを食べる兄弟のシーンや、ティム・ロスが父親に銃口を向けるシーンのロングショットなんかは特にヤバい。
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