eulogist2001

リトル・オデッサのeulogist2001のレビュー・感想・評価

リトル・オデッサ(1994年製作の映画)
3.8
ハードボイルド。だが、そこには悲哀と情愛、肉親であるが故の愛憎などが色濃く滲む。説明のない展開が想像を膨らませる効果があり、それぞれの役者への想いが観てるものの中でも錯綜して、単純なテーマや結論を描けない座り心地の悪ささえ感じる。そこが本作のすばらしさでもある。

生きていくことはさまざまな想いの錯綜でもあり、因果が不明な関係性や結果の連続でもある。頭の中で考えたような善悪や流れのようにはならない。不条理こそが「現実」世界の実相だ。その意味では、まとまりやストーリーどおりの予定調和な作品とは、もっともリアルな世界から遠いものだともいえよう。

ちなみに本作の家族はユダヤ系でロシア正教を信じるロシアからの移民だろうか。
eulogist2001

eulogist2001