アルパチーノ×ジェレミーアイアンズ×ジョセフファインズで魅せる新解釈『ヴェニスの商人』。
中学生の時に初めて読んだ時から物語への印象は変わらず「シャイロックかわいそう😢」…。
キリスト教の興りから長きに渡りユダヤに向けられた敵意。
それを”喜劇”としてあらわしたシェイクスピアの悪趣味な意図を、現代人としてそのまま笑いながら受け止めることはできない。
けれど俳優たちの演技力と絢爛な美術に、観客は16世紀のヴェネツィアの街にすんなり連れ込まれてしまう。美しい画面からの満足度は折り紙つき。
浪費家ゆえに財産を食い潰してしまったバッサーニオ(ジョセフファインズ)は、逆玉の輿で人生逆転を狙う。
求婚の軍資金を親友のアントーニオ(ジェレミーアイアンズ)に頼るが、全財産を商売に賭している彼は貸してやれるものがない。
2人が渋々助けを乞うたユダヤの金貸しシャイロック(アルパチーノ)は、アントーニオの肉1ポンドを担保に求めるのだった…
アルパチーノにしては声のボリューム控えめ、大好きなキレ芸も抑えめ。
それが却ってキリスト社会から迫害を受けるユダヤ人の悲哀と絶望を表しているようで胸を打たれる…。
ラストのジト目は夢に出てきそうなほど。見せ場が少ないのが惜しい…!
それよりなにより
友情と書いてLOVEと読む、男友達2人の予期せぬBL展開に度肝を抜かれちゃった。
(例えて言うならメロスとセリヌンティウスが恋仲だったとか、アキレウスがパトロクロスに恋してたとか、義経と弁慶が睦みあってたとかそういうレベルの新解釈だ)
ジェレミーアイアンズが片想いでずっとモジモジしてる陰キャラなのが新鮮でめちゃくちゃキュンとした~。
いつもは爆イケおじさん、ひとたび声を発せば画面に大ぶりな花が咲くみたいな華やかな演技なのに!
今回は声ちいさくて陰気で…。ぷるぷる震えてるの可愛すぎやめて。
そんな恋の奴隷の気持ちを知ってか知らずか(知らないものか!)、バサバサまつげのイケメンで相手を沼らせるジョセフファインズ。
親友だからって、寝台に横たえた身体を寄せ合って相談したり、別れ際に頬を撫でて口の端にキスしますかねぇ?!?!?!?!?!?!