ともぞう

戸田家の兄妹のともぞうのレビュー・感想・評価

戸田家の兄妹(1941年製作の映画)
3.2
淀川長治さんが邦画ベスト3(残菊物語、羅生門、戸田家の兄妹)にあげた1本。ストーリーはアメリカ映画「オーバー・ゼ・ヒル」の翻案とされているそうな。この映画の公開は1941年だから太平洋戦争が始まった年。自分が子供の頃は戦前は親孝行が当たり前だったのに、戦後になって薄情な世の中になったとよく言われていたが、何のことはない。戦前も親不孝は当たり前にあったということだろう。最後は末弟が兄姉たちに「親を大切にしろ」とビシッと言い、引き取って世話をする格好の良い終わり方。でも実際、言葉の通じない中国に年老いた母親を連れて行って本当に幸せなのか?と思ってしまったし、国民への啓蒙色が強いように感じてしまった。

〈あらすじ〉
戸田家は裕福な家庭で、長男、長女、次男、次女、三女の五人きょうだいがいる。母(葛城文子)の還暦祝いで家族が集まるが、その日のうちに多額の借金を残したまま父の戸田進太郎(藤野秀夫)が死亡。借財の整理に家や家財道具を手放すことに。母と独身の三女の節子(高峰三枝子)が家を出ることになり、2人は長男の進一郎(斎藤達雄)の家に居候することになる。次男の昌二郎(佐分利信)は、自分のことは心配ないと兄に告げ、天津へ旅立つ。母と節子は、長男の妻の和子(三宅邦子)と折り合いが悪く、今度は長女の千鶴(吉川満子)の家に世話になることにするが、そこでも邪険にされる。結局、2人は別荘地で暮らすことに。帰国した昌二郎はそれを知って、兄弟たちの不人情を厳しく批判する。彼は、母と節子を連れて天津へ行くことにするのだった。
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