スローモーション男

戸田家の兄妹のスローモーション男のレビュー・感想・評価

戸田家の兄妹(1941年製作の映画)
4.5
先に言うと所々セリフが聞き取りずらかった…。

 戦時中に小津が撮った家族ドラマ

上流階級の戸田家、父親の突然死によってバラバラになっていく姉弟たちのなかで残された母親の面倒を見る兄妹の話。

 日中戦争に出兵し、そこで親友だった映画監督の山中貞雄を失った小津にとってこの作品は戦争で人々を失っていくのを重ねたように感じました。

 お父さんが亡くなり、金のことしか心配していない長男や妹が働くということを世間体を考えて断じて許さないという長女など自分勝手なことばっかり言う。
あと、みんな女中に厳しくね笑

 いわば『東京物語』でお母さんの代わりにお父さんが亡くなって家族がバラバラになっていくのは似てました。
 でも『東京物語』のように何もできない原節子とは違い、戸田家の次男は叱りつけるのです。最後の宴会でのシーンは素晴らしかったし、その後も残った母と次男と妹で食事を続けます。

 最後のシーンのやり取りも良いですね。天津にみんなで行かないかと言い決めるのだが、お見合いの話で次男は逃げ出すのです。そこでかよ!となります。

 後期の均等された構図とまだ少しだけ動くカメラを見れて面白かったです。