ルサチマ

世界は動くのルサチマのレビュー・感想・評価

世界は動く(1934年製作の映画)
4.4
19世紀から4世代にわたるメロドラマが20世紀の殺戮の歴史が伴奏する形で描かれる。プロパガンダも手がけたフォードだが、この映画での戦争の描き方はナショナリズムの高揚という側面だけでは語りきれない黒々とした刻印があるように思われる。今作より前に『戦争と母性』があるが、第二次大戦への突入が迫る中において、フォードは自身のアイルランドの出自の目線から見たアメリカの動向と映画の産業に板挟みになり、分裂を余儀なくされたように思える。塹壕戦の異常なまでのドキュメント的な生々しさが忘れ難い。
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