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太陽はひとりぼっちのBOBのレビュー・感想・評価

太陽はひとりぼっち(1962年製作の映画)
3.5
ミケランジェロ・アントニオーニ監督による"愛の不毛三部作"最終章。

ローマ郊外。婚約者と破局し、空疎な日々を送る女性が、投資家の母親が通う証券取引所で知り合った若い株式仲介人の男と恋に落ちる。

「深く愛しているなら理解し合えるものよ」「じゃ、俺たち理解し合えるかな」「分からないわ、、、」

三部作の中で最も難解さを感じる作品だった。

『情事』『夜』同様、孤独や虚無感も味わったが、本作にぴったりだと思った言葉は"破滅"。作品のちょうど折り返し地点で株が大暴落して以降、世界の終わりに向かっているような感覚を覚えた。主人公二人が一切登場しない台詞ゼロのラスト7分間は、無機質で退廃的で殺伐とした情景ショットが連続し、ラストは絶望感に襲われた。核戦争を予感させるような描写もあった。"愛の不毛"どころの話ではなく、終末映画だったのではないかとすら思った。

「外国にいるみたいだ」「あなたといるとそんな気がするわ」
空虚で無感動な、愛を見出だせないラブ・ストーリー。モニカ・ヴィッティとアラン・ドロンという美男美女を起用して、これほど無味乾燥な男女関係を描けるなんて凄い。モニカ・ヴィッティの物憂げな表情と"アハハハ"という乾いた笑い声が印象的だった。

冒頭、エレキギターによる賑やかな音楽から一変して、先行き不安な不協和音が響き渡る。証券取引所の熱気が凄まじい。ケニアの民族の仮装をしてダンス。

『太陽がいっぱい』『太陽は知っている』に続く、アラン・ドロンの"太陽三部作"(笑)の3作目。さすがに的外れな邦題だとは思うが、これが功を奏したのか、世界で唯一日本では大ヒットしたらしい。アラン・ドロンを見に行った当時の観客がどんな顔をして映画館を後にしたのか、非常に気になるところ。

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