【不毛な市場】
ミケランジェロ・アントニオーニ監督×モニカ・ヴェッティ×アラン・ドロン主演のフランス・イタリアの合作ロマンス。
〈あらすじ〉
ヴィトリアには外交官のフィアンセ、リカルドがいるが、このまま彼と結婚して平凡な生活を送ることを思うと彼女の気持ちは重かった。別れたくないというリカルドを振ったヴィトリアは、彼との別離を母親に告げるため、母親が足しげく通う証券取引所へ。ヴィトリアはそこで仲買人をしているある青年ピエロと出会い、その視線に強く心引かれる。ピエロに会いに再び取引所を訪れた彼女は、ごく自然に彼と結ばれるが…。
〈所感〉
名作『太陽がいっぱい』のような狙ったようなタイトルに惹かれ鑑賞。そういえばミケランジェロ・アントニオーニ監督作品自体見るの初めて。タイトルからしてちょっと不穏だが、見終わると確かにこれは愛の不毛だわ!となる作品。風景描写って退屈だけど本作のラストのそれは、滑稽な市場の喧騒も小っ恥ずかしい愛の蜜月も全て吹き飛ばすような空虚な映像であり、すごく効果的に思えた。これだけの美男美女が出ているにもかかわらず、何年後かにこの映画の内容を思い出すとしたら何でもない一風景なんだろうと思う。この精悍でイケメンなアラン・ドロンに靡かない女性がいるとなると、最早我々平凡男子諸君にはなんの希望も残されていないのかもしれない。恋愛市場よ…なんて不毛なんだ…。