書庫番

野獣刑事(デカ)の書庫番のレビュー・感想・評価

野獣刑事(デカ)(1982年製作の映画)
4.2
2018年10月2日 U-NEXTにて視聴。

自分が逮捕した男の情婦と関係を持った刑事。
女子大生殺人事件を追う彼の前に出所した男が現れ、3人の奇妙な関係が生まれるのだが…。

当時45歳の緒形拳が違法捜査も当たり前のはみ出し者の刑事を演じた、工藤栄一監督作品。
泉谷しげる、成田三樹夫、蟹江敬三、遠藤太津朗、麿赤児とアクの強い役者陣が揃う。
ヌードも辞さぬ体当たりの演技を見せるいしだあゆみと、再び覚せい剤に手を染め、金属バット片手に破壊の限りを尽くす出所男を演じた泉谷しげるの演技が当時話題となった。
異常殺人者を演じる益岡徹の抑揚のない演技の不気味さも癖になるし、緒形拳と藤田まことが対峙するシーンがあるのも必殺ファンには堪らない。

冒頭から「光と影の魔術師」の本領を発揮する工藤栄一が見せる映像美。
ポスターやDVDパッケージにもなったシーンも印象的。
また、幻覚症状に陥って白昼の公園で情婦を追い回す出所男の画はまるで白日夢のよう。

苦味の残るラストシーンだが、ラストカットに微かな希望も感じられる。
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