AZ

アウトレイジ ビヨンドのAZのレビュー・感想・評価

アウトレイジ ビヨンド(2012年製作の映画)
3.8
前作が好評だったのか、役者陣が豪華すぎる。重要なキャラからモブキャラまで。しかもあっさり死んでフェードアウトさせてくという潔さ。前作もそうだが、こんなに新陳代謝の高い作品ある?

また、画面の迫力がより増していた。それは俳優陣によるのもそうだが、ライティングによる部分もある。上からの強い光源によって、顔に濃い影が落ちる。光のない顔達が悪いことを企む姿。

改めて思ったが、テンポがかなりいい。無駄な演出はなくことがどんどんスムーズに進む。実際に起きた出来事をただ表現するかのように進むストーリーはやはりドキュメンタリー的。この淡白な感じが良い。

何気に2時間弱で収めているので(前作も)鑑賞者にやさしいのも良いところ。だけど、内容は濃厚。。

----------

前作から5年後の話。山王会が勢力拡大する中、内部でまた不審な動きが起こる。そこからまた、ヤクザ同士の潰し合いを誘導するマル暴の片岡。

前作では敵同士だった大友と木村が盃を交わす胸熱展開。初めは乗り気じゃなかった大友も、木村の姿を見て心に変化が起こり、昔の大友に戻っていく。

今作気持ちいいぐらいスムーズに話が進むためストレスがない。都合良いと言えば都合良いのだが、ヤクザ抗争ドロドロの状態を長々と見せられても鬱陶しい。この点大衆に受けるように作られていると思う。しっかりエンタメとして割り切っている。

裏切り者の石原はあっけなく追い詰められ、主犯格である加藤は山王会から引きづり下ろされる。そして、トドメをさす大友。

だが、裏でヤクザ同士の潰し合いをどこまでも企んでいる片岡の戦略通り、木村組は潰されていく。

いよいよブチギレた大友はマル暴である片岡を殺して映画はあっさりと終わる。

----------

とにかく展開が早い。この淡々と計画がスムーズに進んでいくのが気持ちが良い。その分ドラマ性は薄れそうだが、今作は木村と大友の関係が良く、この2人の和解と復讐劇だけで満足感があった。

特に敵であった木村の姿。前作で惨めな姿を晒した男が、ここまでかっこ良く描かれるとは。だからこそ、大友に火がつき話は最終章へ向かう。

武映画なので構えていたが、話は分かりやすくテンポもいいのでとても見やすい作品。続編ありきの終わり方は、もう少し何か余韻を残した方が良かったかも。

個人的に好きなシーンは、花菱会にやってきた三浦友和演じる加藤を、西野(西田敏行)と中田(塩見三省)がじっと見ているところ。何かを言われるより、じっと見られている方が怖い。
AZ

AZ