イッソン

キューポラのある街のイッソンのレビュー・感想・評価

キューポラのある街(1962年製作の映画)
3.6
主役の吉永小百合。元気いっぱいで魅力がある。瞳の輝きが印象的。この女優がなぜ人気があったのかがよくわかります。もしかするとこの映画こそが彼女の代表作ではないだろうか。

そして弟役の市川好郎。こんな素敵な姉の弟とは思えない愉快な面相。憎まれ口を叩くその愛嬌のある表情が楽しい。


グレても仕方のない環境なのだが、ゆらゆらと揺れながらも成長していく。
今と違うのは若い人が夢を持てたという点だろうか。少なくともこの時代の人達は豊かになることを信じて疑わない。そのくらい貧しい。

そして若くさわやかな男、浜田光夫。彼はしきりと組合に入ることを勧めるのだけど、今の人たちに組合ってわかるのだろうか。
みんなで力を合わせて、みたいな臭い言葉がこの頃はまだ有効だったのだ。
この映画の描く時代から遠く離れた日本の今がとんでもない袋小路に入ってしまったのかもしれないなと思う。

この映画の舞台となった川口。 
今の川口って都会ですよね。駅も大きいし。お店もそろっているし。
この映画では、ちょっと驚くほど田舎の風景です。ロケをしているそうなので、ラストで二人が走って行く大きな道路はおそらく今もそのままかと思います。

そう考えるとかなり昔の映画なんですね。
でも、吉永小百合はまだ今も頑張っています。つまり映画の役の一途なところは、今の彼女にも生き続けているところなのかもしれません。