都部

ドラえもん のび太とロボット王国(キングダム)の都部のレビュー・感想・評価

2.7
人間とロボットの共生が命題として語られる物語は、ロボットの物語であるからドラえもんの印象的な活躍が事更に多い一作なのだが、題材の重さを避ける為かコメディシーンが煩わしいと感じるほどに多く、作品に沿った雰囲気作りという点では些かの偏りを感じさせる。

人種間の差別/被差別関係にも通じる、顎で扱われるのが当然の立ち位置にあるロボットの倫理的問題にも触れており、しかしながら彼等は人間とは異なる機械人形である/機械人形ではないという思想間の対立の構図を立てているのがなんというか真面目だ。ではどんな結論を導き出すのかといえば、人とロボットに境界はないことを母に対する愛として処理するのだがよく考えてみるとこれはおかしい。

元よりジャンヌの母代わりにあったロボットへの思いは個人的な問題の枠を出ず、母の前ではそれらの貴賎がないとするのも主要人物のみに焦点を絞った結論なので、はたして本作のテーマに応えることは出来ていないのである。

これは明確に物語の論点をずらしている。

一般的なロボと人の理想的な関係は、存在していた理想郷という舞台装置によって簡潔に処理されるが、それまでにロボトミーの処置を受けたロボット達の問題の解決にはなっていないし、それはあくまでもこれからの話である。その割に要所要所で挟まる犠牲になったロボットと人の関係を差し込むのは見せつけるような悪趣味で、作品の後味をやや損なってるように思えた。

また物語から受ける印象の緩和の為のギャグの連鎖も嫌いではないが、中盤〜終盤の見せ場にも同トーンで配置されているので肩透かしの域に踏み込んでいて、その癖 最後はお涙頂戴の展開と雑味のある解決による事態の収束に任せているのはどっちつかずだ。
都部

都部