のすけ

ハウルの動く城ののすけのレビュー・感想・評価

ハウルの動く城(2004年製作の映画)
4.0
圧倒的な世界観、音楽と絵の調和、そもそもの絵の魅力、アニメーションの面白さなど良いと思う点がひたすら見つかる中で話の内容自体にはあまり惹かれないのが個人的な感想

世界観はとりあえず良い
宮崎駿は〜、ジブリは〜で始まる文章は基本嫌いだけど(たまに自分も使っちゃうけど)、よく考えたら話の内容がよく分からなかったり、自分が共感できないことがあっても宮崎駿の映画に惹かれるのはなんでだろうって考えて思いついた内の一つが世界観。
世界観っていうとアバウトなので、もう少し具体的にすると、ファンタジーの世界があってそれが当たり前にその世界で受けいれられていること。
当たり前にその世界は成り立っててその世界を自分たちがのぞいている感覚。
今回だとハウルとか魔法使いの存在が当たり前の世界で主人公のソフィーですら魔法が存在していることを当たり前のように受け入れていて、見ている自分たちは置いてけぼりのようになるんだけども、必死に物語に追いつこうとするのが楽しくもある。もののけ姫もこれに近くて、シシ達の存在が当たり前に受け入れられてる。
(千と千尋とかは少し例外かな?神の世界を何も知らない千尋が主人公で千尋を通して世界が提示されるから)

あと、なんといっても音楽。
強すぎだと思う。描写とマッチしすぎ。
エンゼンシュテインが垂直方向のモンタージュとして音楽と絵の調和の重要性を上げてたけど、これこそ音と絵がマッチして、より奥深いものになってる
久石譲なしには宮崎駿映画はここまでこれなかったんじゃないかとつくづく思う

主人公のソフィーのキャラクターも見どころの一つ。
もとから、流行りに惑わされないというか我が道を行く姿勢が最初から出てる。これだけでも真っ直ぐで惹かれるキャラクターになってるけど、おばあちゃんにされた後も全然めげずにすぐ行動する。この実直なキャラクター性は宮崎駿、もといジブリ作品の主人公でよく見られるもので世代、性別問わず惹かれる要因なのかな。

ソフィー以外もそれぞれのキャラクターの個性があって、それらが光ってる。
ハウル、マルクル、カルシファー、カカシ、荒地の魔女、ヒン
これらのキャラクターとの兼ね合いもこの映画の見どころの一つ
マルクルがどんどんソフィーに懐いていく様子も愛おしいし、カルシファーが文句を言いながらもソフィーのいうことを聞いてるのも楽しい

ただ、話の内容だけをゆっくり考えた時、個人的にはあまり面白くないなっていうのが僕の感想。
ソフィーの呪いについても時々若返る時があったり、ちょっとだけ若返るとかもあって呪いについてそもそもよく分からないし、途中でハウルは何と戦ってて、何から逃げなければならないのか分からないとこもある。
サリマン?それとも戦争の敵国?
あと、最後のソフィーが時空を超えて若かりしハウルに会うところも少し理解できなかった。なんで?ってなった。急に会えるの?って。そこを説明しすぎない良さとか、あいまいにしておくことの良さもあると思う。でも、これは難しいところで物語として提示している以上、観客に感情移入させたり、物語の状況をなんらかの形で理解させなければならないんじゃないかと思いつつ、それをやりすぎると面白くなくなるしなって思いつつ。
難しいところです。
でも、個人的には物語としての感動はあまりなかったといったいうのが感想になります。
のすけ

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