Tenjin

ハウルの動く城のTenjinのネタバレレビュー・内容・結末

ハウルの動く城(2004年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ジブリの大博覧会を見に行った勢いで、今まで未見だった「ハウルの動く城」を見てみたのだが、残念ながら「文句無しの傑作!」とはいかなかった。
まず声優問題。公開当時も大不評で、見そびれていたのはそれもあるけど、実際に聞いてみてもそれは当然という感想になってしまう。18歳の少女と90歳の老婆を一人二役などというのは、プロの声優でも難しい役どころなのになぜ専門外の、しかもかなり年齢のいった人にさせてしまうのか。30歳くらいの実力のある声優さんに演じてもらえばすんなり聞けただろうに、少女の時の声の違和感で物語に入り込めない。老婆のときはそんなに悪くないので、少女の時は別の人にさせるべきだったのではないだろうか。宮崎駿さんは偉大な監督だと思うけど、(あえて言わせてもらうと)棒読みの素人を主役にすえるというのをスタンダードにしてしまったのは、結構な罪だと思う。せめて、製品版のときは声優バージョンも入れるとかしてくれればいいのに、と思ったり。
さて、お話の方は少々説明不足に感じる部分がある、明確な悪役が存在しない、など気になる点はあるが声優の件に比べれば大きな問題ではないかもしれない。説明不足、というのはたとえばソフィーが時々若い頃の姿に戻ることだが、これなどは後で他の人の意見(自分に自信を持っている時、リラックスしている時は若い頃に戻る)を見てだいたい納得はした。ずっと老婆でいて、最後に少女の姿に戻るほうがドラマティックだと思うが、それはそれで絵的には寂しい感じになりそうだ。
悪役については、最初に呪いをかけた荒れ地の魔女が途中で仲間になって、ちょっと肩透かしをくらう。一応、後半はハウルの師匠のあの人が悪者の役どころなのだが、そこまで悪辣な手段に訴えるわけでもないから、ハウルの側が勝利を収めてもシンプルな勧善懲悪とは言いづらい。物語の主軸はソフィーやハウルの内面の変化にあると見るべきか。
Tenjin

Tenjin