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青葉城の鬼のmitakosamaのレビュー・感想・評価

青葉城の鬼(1962年製作の映画)
3.8
原作は山本周五郎で、伊達騒動を描いた“樅の木は残った”。長編小説とのことで、だいぶ端折った構成とのこと。
伊達藩がお取り潰しの危機に瀕した伊達騒動。その際主犯と言われていた原田甲斐を、真逆の汚名を着ながらも藩を救った功労者として描いた話。
その原田甲斐に御大・長谷川一夫。目バリが凄い。

徳川四代家綱の時代。幕府は外様大名の強大化を恐れ、仙台藩取り潰しのチャンスを狙う。
大老の酒井雅楽頭は、まず3代目藩主・伊達綱宗の叔父・伊達兵部を口説き味方にし、密約を結ぶ。
綱宗は吉原に連れて行かれたことをやり玉に挙げられ隠居の身に。さらに口封じのために吉原に誘ったとされる家来は惨殺される。伊達家は4代目として2歳の亀千代が選出。兵部が後見人に。
ここまで一気に進む。展開が早くて集中しないと置いてきぼりにあいそう。

惨殺された部下の子供は甲斐が引き取る。姉はかなり大きい。彼女がと甲斐の家の樅の木について話すことが原案のタイトルの由来。
さらに遺族の弟として新八なる青年も登場。中々の癒やしキャラだ。

甲斐は一応は兵部の側にいるので、反対勢力の伊達安芸一派からは裏切り者扱いされるが、影ながら暗躍。
お取り潰しの策略も進む。亀千代の毒味役が死んだりと不穏だ。

今作の面白い所に女性陣が奔放というか、人間味がある点だ。甲斐家に引き取られた娘・宇乃は甲斐にちょっと思いを寄せる。
甲斐の奥さんも、よくある時代劇の貞淑な妻では無く、普通に不満も言うがそれがまた愛嬌がある。
兵部側の用心棒(天知茂)の妹は新八を拾ってきて、無理矢理タライで湯浴みをさせる。照れる青年に超ボディタッチで背中を流してあげる肉食キャラで好感度大だ。だが兄にはDVに遭う。

諸々因縁をつけお取り潰しにこぎ着けたい大名だが、そこに甲斐は兵部との密書をチラつかせ揺さぶりをかける。クライマックスらしい緊張感。
コレが元で甲斐らは強襲され命を落とすが、甲斐が全ての責任を負うことで藩取りつぶしのピンチを脱する。

長谷川一夫の重厚感が存在感あって説得力がある。甲斐が享年52らしいので、一応年齢的にもおかしくない筈。中盤で会津の山で狩りに興じる姿は流石に違和感があったが(笑)

奇をてらわない三隅演出も映える。何より話のまとまりが凄い上手い。脚本や編集も苦労したことは想像に難くないね。
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