クレジットはないけど、設定は山本周五郎の「赤ひげ」だろうか。さらに、任侠もののテイストを加えて、東映作品らしい内容に(「人生劇場」は翌年)。
赤ひげならぬ、豪快先生は市川右太衛門、若い医者に東千代之介。
ここでは、脚本が監督の名前になってるけど、作品のクレジットやネットのデータでは鷹沢和義(wikiによると監督と奥さんの共同ペンネーム)。
黒澤の「赤ひげ」ように細かやに作られてるわけではないけれど、ツボを押さえて、笑わせ泣かせる内容。患者のエピソードは並行に語られている。
沢島忠らしいドリーや、オープニングのワンカットの右太衛門の殺陣など、動きにあるシーンはやはりとてもうまい。
映像の質感が同年の「美男の顔役」などとは違って、オーソドックスなので、主演によって変えてるのか? 野外で殺陣をやってるのが珍しい(市民の側に立った目線などは、当時の世相だろうか)。
それにしても「おまえという人間に負けた」のセリフは良かった。