スローモーション男

少年のスローモーション男のレビュー・感想・評価

少年(1969年製作の映画)
4.5
 『戦場のメリークリスマス』以来の大島渚作品

是枝裕和監督がフランスのテレビ局か何かのインタビューでこの映画が好きと挙げており気になって観た。
うん、これは『万引き家族』そっくり

高知県から当たり屋をしながら生活していく4人家族の物語。父親が10歳の長男に当たり屋をやらせていた実話を基にした。

とにかく可哀想で観ていて苦しい。子供が犠牲になるどころか途中で自分からやりに行く。そうするしか両親に認められない。
母親は血は繋がっていないが少年と少しずつ親子の関係性が保っていく。しかし、それは父親から逃げ自分達だけで当たり屋稼業をやろうとする負の解決策なのだ。

映像は当時の日本を切り取っていて、構図がめちゃくちゃ素晴らしい。こんなロングショットの映像ばかりで見飽きないのも凄い。
最後の北海道での雪景色。美しい…。

悲しいのだけれども、『万引き家族』とは違い、父親がクソ人間すぎて早く捕まれと思ってしまった。何より少年も可愛げがない感じ描写されていて、大島渚は客観的にキャラクターを捉えているのだと感じた。それがロングショットの必要性と密接していると思う。