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ヘンリーのカネコのレビュー・感想・評価

ヘンリー(1986年製作の映画)
3.2
ある殺人鬼のVlog的なやつ🎥

殺人で懲役刑を食らっていたヘンリーは刑期を終え刑務所仲間のオーティスとルームシェアをしながら暮らしている。
そんな彼にとって殺人は煙草のように身近なもので”ちょっと煙草切らしたから買ってくる”位の勢いで特に何の感情の昂ぶりもなく殺人を重ねていく🚬

ヘンリー・リー・ルーカスは1960年から1983年にかけて300人以上の殺人を犯したと自供したアメリカの実在したシリアルキラー。
今作はあくまでも実録風であって内容は虚実混ざっている。

ヘンリーがベッキーに語る生い立ちと母親殺しは概ね事実。めちゃくちゃ母親が毒親で歪んでしまったらしい。
オーティスの目を潰したりしていたのはフィクション。実際はヘンリー自身が10歳の時に喧嘩して左目の視力を失っている。

ヘンリーにほとんど感情が無いから映画全体もドライで平坦な印象。
ルームメイトのオーティスの方が単細胞で最初はヘンリーの殺人にドン引きしてたのにそのうち自分もヒャッハーしてスナップフィルムまで撮るように。
オーティスの妹ベッキーとヘンリーがちょっと良い感じになってる事に気づいて(そういう事に勘づくのだけはなんか鋭い)ベッキーをレイプしようとしたり本当最低なクズ。

とにかく暗い感じで気が滅入るけど殺人の直接的な表現が少ないのが救い。

冒頭で遺体を映しながらBGMで殺される時の音声だけを流したりラストの血のついたトランクを車から道路脇に遺棄するだけで殺人を匂わせたりする演出は低予算で描けなかったからなのかもしれないけどこれはこれで味があってかえって良かった。

割とノリノリで殺人してるシーンでけっこうリアルに人を刺す時のSEが全然リアルじゃない70年代風のドゥクシッ!ジャーン!みたいなやつで変な気持ちになった。

実際のヘンリー・リー・ルーカスはかなりの虚言癖でちゃんとウラも取れた殺人は母親とベッキーとあと数件だけで300人はあり得ないらしい。
たしかネトフリにその辺りを検証したドキュメンタリーがあるとか。
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