8Niagara8

秋日和の8Niagara8のレビュー・感想・評価

秋日和(1960年製作の映画)
4.6
お節介で少々下世話なおじさん3人。勝手に話を膨らませ、事態をこんがらせる。
勝手な縁談を断りながら、結局後藤を好きになり結婚するアヤ子に女性の自由の美しさを投影する。
岡田茉莉子がハマり役過ぎて、圧巻である。
百合子は俯瞰する我々と視点を同じくし、後半まで重なった負の感情の幾多を引き受けて、カタルシスへと繋げていく。

晩春と共通点を多くし、原節子は笠智衆を受け継ぐ。
娘を思う母の姿はあまりにも美しく、と同時に家族が崩れるその悲壮感も纏う。

嫁入りを軸に展開されることの多い小津作品の数々はいかんせん時代性を色濃く映し、それ故に現在とのギャップを感じるところもある。
それでもなお普遍性を帯びる。
本作においても劇中でも言及される湿っぽさなんてのは現代でも見られるもので、人間くさい。その俗人的な要素を強烈なまでに切り取り、映像とともに訴えかける。
その説得力は現在でも健在である。
だからこそ、将来的な視点でもっても、時代性のギャップに引っかかることなく全編観られる作品であって欲しい。
8Niagara8

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