きゅうげん

悪魔のいけにえのきゅうげんのレビュー・感想・評価

悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)
4.3
初期ヒルビリーホラーの金字塔!
言わずもがなエポックメイクの傑作です。

荒らされた墓場、悪臭ただよう屠殺場、ラジオから流れる凄惨なニュース。不安をかかえる前途多難な旅路の雰囲気づくりはもう完璧。
オープニングのフラッシュに垣間見える遺骸や緊張感のある音楽、あるいは中盤以降の闇夜にポッカリ浮かぶ月やヘッドライトなど、とてもクールで印象深いです。
舐めるような見上げるような撮影演出も、恐怖の対象化においてその圧倒的な存在感を醸し出す、ナイスな働きをしています。カラッとしたテキサスの陽気から一転して室内は暗くて埃っぽく、漏れ込む日差しが逆光的に登場人物をシルエットにするシックさもかっこいい。
低予算映画ながらも安易な方法に甘んじていないところが好印象です。

異形のものたちが食卓を囲みどんちゃん騒ぐ様子には祝祭感が、クライマックスでの突然なトラック事故にはニューシネマ感があるともいえるかも。もったいぶらずにサッパリ殺してくのもいい。
出演陣で出世したのは、声優になったヒッチハイク兄貴と冒頭のナレーターくらいでしょうか。そんなナレーションを担当したジョン・ラロケットさん、本作のギャラはマリファナだったそうで……。