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パームビーチ・ストーリーのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

パームビーチ・ストーリー(1942年製作の映画)
4.5
【お客様、列車内で猟銃乱射しないでください!】
「死ぬまでに観たい映画1001本」掲載の『結婚五年目』をAmazon Prime Videoで観ました。本作はFilmarksだと別名『パーム・ビーチ・ストーリー』で登録されている作品。タイトルからはあまり面白くない作品だと感じるのですが、観るとこれがびっくり抱腹絶倒の大傑作でした。

冒頭のタイトルシーンだけでも観てほしい。Tik Tokで作られる超高速映画さながら怒涛の結婚式修羅場が展開される。新婦が会場にいないので迎えに行く新郎。一方その頃、新婦は部屋でドタバタを繰り広げていた。おばちゃんが部屋に彼女がいるのを目撃し、スッテンコロリン。何故か、隣の部屋には謎の女が閉じ込められており、勢いよく扉を蹴って足を出す。気絶から復活したおばちゃんはまたもやその足を見て気絶する。死体のように廊下に投げ出されたおばちゃんを映し、なんやかんやで結婚式に新郎新婦が間に合う。めでたしめでたしと、カメラは引きながら、背後から映り込む文字オブジェクトを捉える。「本当にめでたしなのか?」という疑問文と共に本編が始まる。

時は五年後。夫トム・ジェファーズ(ジョエル・マクリー)が金を稼がない為、家賃滞納に苦しめられている。そんな中、アパート見物に耳の遠い老人が現れ、こともあろうことかトムの家に侵入する。バスルームにジェリー(クローデット・コルベール)を目撃すると、何故か興奮し始め大金を支払い家賃滞納は解消する。その件を夫に話す。だが、言葉を並べてみると改めて異常な出来事だ。彼は機嫌が悪くなる。だったら離婚しましょとなる。そこから、トムとジェリーがごとく滑稽な追いかけっこが始まる。

布団を身に付けたまま、エレベーターで口論するも、一般人に笑われるもんだから急いで部屋に戻り始めるトム。丸い窓から首を出すと、ごつんと頭をぶつけたりする。このコミカルなアクションがたまらない。

そしてドンドン映画は過激になっていき、ジェリーが列車に乗り込めば混沌とした世界が広がっているのだ。ジェリーは、目ん玉を潰す勢いでメガネ男を踏んづけ、メガネを粉砕しながら上段ベッドへよじ登る。食堂車では、酔っぱらったおっさんたちが、店員が投げるクラッカーでクレー射撃を始め大乱闘スマッシュブラザーズとなる。深夜3時のテンションで書き殴ったような予想もつかない物語が、ちゃんと円環構造を形成し収斂していく様子に感動しました。

「死ぬまでに観たい映画1001本」フルマラソンをしているとこうした掘り出し物があるから楽しいものである。

アマプラにあるので是非!
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