ぽんぬふ

キャスト・アウェイのぽんぬふのレビュー・感想・評価

キャスト・アウェイ(2000年製作の映画)
4.5
コペルニクス的転回についての映画。彼を中心にぐるぐると動くカメラが(配達物の主観ショットまで)、遭難後は固定のロングに。自分を世界の中心と思っていた彼が、いざ地球と対峙してみるとできることといえば、表面を僅かに削ることだけだが、必ず自然の側からしっぺ返しをうけ体を傷つけられる。第一段階は世界の中心から自分を外すこと、他者を創造することで終わる。もちろん第二段階は他者を失うことで。そしてこの映画が普通でないのは(144分の尺の原因でもある)、島を脱出してから、もう一度、得られたはずの他者を失うというプロセスを語り直すことだと思う。オープニングクレジットの場面と同じ場所がエンディング付近でもう一度出てくるが、俯瞰だったカメラが地上に降り(彼自身がそこを訪れることで)るのはともかく、どこまでも続くかのように見える電線が脱出のキーアイテム、彼自身の自然に対する達成の象徴であるロープを予感させるなどの演出も冴えている。全体として省略が的を射ており語りが早いのだが、それと木々のさざめきや水面の揺れなんていうイメージも同時に堪能できる。
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