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ダーククリスタルの一人旅のレビュー・感想・評価

ダーククリスタル(1982年製作の映画)
2.0
ジム・ヘンソン、フランク・オズ監督作。

悪の種族スケクシスを倒し世界を守る使命を負ったゲルフリン族の若者・ジェンの冒険を描いたファンタジー。

マペット作家のジム・ヘンソンが手掛けたファンタジーで、実写映画だが人間は一人も登場しない。劇中登場するキャラクターはすべてマペット(着ぐるみ)で、腐ったハゲタカのようなスケクシス族(悪玉)、退化した恐竜のようなミスティック族(善玉)、巨大なグソクムシのようなガーシム(悪の手下)、異様に脚の長いランドストライダー(ラクダ的乗り物)、毛むくじゃらの犬のような小型動物(ペット)、人間に一番近い風貌のゲルフリン族(主人公)など、大小様々な未知の生物が登場する。キャラクター造形だけでなく、ファンタジー映画らしいダークな世界観が魅力で、スケクシス族が占拠するクリスタル城のセットや鬱蒼とした森の造形など、映像面では秀逸。ファンタジー世界にどっぷり浸かれること請け負いの映像世界は一級品。

内容はいたって普通のファンタジー。悪の種族を倒し、世界に善と平和を取り戻すため主人公が仲間とともに冒険を繰り広げる、というコテコテのお話。『ダーククリスタル』というタイトル通りストーリーの鍵となるのがクリスタルで、1000年前に砕けたクリスタルの欠片を元に戻すことで世界が救われるという設定。取って付けた感ありありだが、ちょっとしたロマンスやお涙頂戴もあったりする。低年齢向けの作品なのでキッズは充分楽しめるかもしれないが、古臭く凡庸なストーリー展開のせいで個人的には全然楽しめなかった。ただ、映像(美術)とクリーチャーの造形は間違いなく素晴らしいので、マペットファンタジーの代表作として一見の価値はある。

ちなみに、大人向け(というか子どもは鑑賞NG)のマペット映画にはピーター・ジャクソンの『ミート・ザ・フィーブルズ/怒りのヒポポタマス』(1989)という作品もある。本作には一切見られない強烈なブラックユーモアと悪趣味な演出が目白押しの怪作なので、大人の皆さんは是非!
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