LEONkei

仇討のLEONkeiのレビュー・感想・評価

仇討(1964年製作の映画)
4.2
〝進む勇気と退く勇気があってこそ真実の勇気〟新渡戸稲造


理不尽極まりない無慈悲で無情な深淵へ、行くも地獄・止まっても地獄。

あるのは只、自らの「義」を尽くすべき目の前に立ちはだかる者を…斬る、斬る、斬る。


錦之助の不乱に見開く眼光は黒真珠のように煌めき、名刀〈備前兼光〉と共に地獄の果てへ疾走する生霊。

下級武士の仇人〝新八〟の魂は既に冒頭の奏者番〝奥野孫太夫〟との一件を期に、それは絶たれたも同然。

彷徨う生霊のごとく静かに煮えたぎる葛藤、討ち手へ挑むクライマックスは壮絶。

中村錦之助の存在感は他を寄せ付けず圧倒するが、脇役陣も適役で素晴らしく重厚で見応えある作品。


地獄・極楽は現世に有り、永久なる常世へ鎮まりたまえ。

正しく〝新八〟武士の一文の如く、鎮魂の儀とあらんことを..★,
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